裏切られた気がした
そんなことをする奴とは思っていなかったから
跡部や忍足の説明を聞いてもオレは理解できなかった。
と言うよりも理解したくなかった。
どうして岳人がそんなことをしたのか。
何かの間違いじゃないのか、とも思った。
現に滝はまったく信じていないようだったし。
だけどその後聞いた理由、それに数枚の写真を見せられてオレは考えを改めた。
こんな卑劣な事をするなんて、と頭に血が上った。
後輩が泣き出してもそれを冷めた目で見ている滝が悪者に見えてきた。
こんなに泣いて、辱められたことまで告白して。
コイツに、何の罪があるのか。
コイツは、被害者だ。
岳人がテニス部で頑張っているのは知っている。
この後輩だって頑張っていた。
後輩が話し掛ければ岳人は笑顔で答えていた。
きっと、岳人は信頼されていたはずなのだ。
それを、あいつは裏切ったんだ。
許せねぇ。
「そう思ったからこそ、オレはアイツを信じた。
何でお前が岳人を信じるのかが分からねぇ」
「そう」
わかったように頷く滝にも腹が立った。
オレは机をバンと叩いた。
クラスの目が集中するのも構わず叫んだ。
「お前がそのつもりならそれでいいけどな!
オレ達はもう岳人を信じねぇ!
あいつに味方するならそのつもりでいろよっ!」
「うん、そのつもりでいるよ」
滝は臆することなく言った。
「でも、気が済んだらちゃんと謝ってあげてよ。
その後輩に何かされるならともかく、宍戸達が岳人に何かするのって、
完全に『お門違い』ってもんだからさ」
気がついたとき、オレは滝を殴っていた。
授業中でも滝の態度が無性にイラついた。
どうして後輩をレイプするような奴を庇うんだよ。
友達だから?
違うだろ。
友達だったら、自分のしたことがどれだけ悪いことかをきっちり知らせてやることが大切なんだろ。
それを考えるほどにオレの中である疑問が少し大きくなっていく。
本当に岳人が後輩をレイプしたのか?
そう考えてしまうのは、滝の言うことが当たっているとも感じていたから。
オレが信じているのは後輩で、信じたいのは滝と―――岳人。
見せてもらった写真は確かに誰かがレイプされていたもの。
顔が写っていなかったけれど後輩が泣いていたからアレはあいつだと信じた。
だけど、顔が写っていなかったという事は、アレはあの後輩ではないのかもしれないんだ。
一人の天使に芽生えた、小さな疑問
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