嘘が巧いわけじゃないけど、手段は狡猾だ
だけどやっぱり、騙されるやつの方が圧倒的に多いわけで。
「アイツ・・・・・・そんなことしたのかよ・・・・・・」
最初に宍戸が口を開いた。
その声は半信半疑といったところだった。
なんて事をするんだという気持ちよりも、まさかという思いの方がオレには伝わった。
「オレらも最初はそう思ったんや・・・・・・けど、証拠だってある・・・・・・」
「暴行されたところを写真に撮られた、とか?」
ありがちなことを聞いてみると後輩が震えだした。
どうやって写真を撮ったのかは知らないけれど、そんな手の込んだ事までするのかと感心した。
「その写真、もしかして持ってたりする?」
まさか、持ってる訳ないよなー。
そう思いつつも一応聞いてみる。
すると意外にも。
「・・・全部、じゃないですけど・・・・・・何枚か・・・」
「見せて。嫌ならいいけど、オレは君の言ってる事が信じられないから、証拠を見せてほしい」
この次の相手の行動で、オレの中でこの嘘が確信になった。
数枚の写真を見せられた。
どれもこれも、顔は写ってなかったけれど、明らかに陵辱されている。
よくこれだけ撮ったものだ。
自演することにかけては相当の実力者だろう。
オレは自然と笑いがこみ上げてきた。
「よく撮れてるね。顔を写さずに撮るなんて、よっぽど器用に撮ったんだ」
皆が写真を見て絶句する中、オレはいつもの調子でそう言った。
チラッと後輩を見ると一瞬彼はオレを睨みつけた。
バカだなぁ。
そんなことしたらもう丸わかりじゃないか。
こんな写真、撮れる訳ないんだ。
犯してる方も犯されてる方も写ってるなんて、まずありえない。
誰がシャッター押したの?
自動タイマー?
だとしてもこんなアングルから取れるのかという疑問が残る。
ついでに、首から上がまったく写ってないから本当に岳人が犯して後輩が犯されてるのか。
そこのところの判別は無理だ。
それと、この写真がポラロイドやデジカメで撮られたものでないこと。
いつ現像に出した?
どうやって岳人からこれを渡された?
「・・・・・・まったく、何考えてるんだよ」
小さく呟いたのはこんなことをした奴に対して。
だけど跡部達はオレの言葉を岳人に向けて言ったものと解釈したらしい。
怒ったような声でオレの言葉を肯定したから。
「最低だろ?」
「ホンマに、こんなに汚い奴とは思わんかったわ」
「・・・・・・それにしても、よく撮れてるね。これ撮った奴、写真撮る才能あるんじゃない?」
「そういう言い方はないやろ。こいつは、そないな写真とって脅迫するような奴に・・・・・・」
「写真、どうして見せたの?」
オレは忍足の言葉を無視した。
こんな事されたって知られたくないんじゃないの?なのにどうしてオレ達に写真見せるの?
きっと、彼はこの疑問に答えるだろう。
オレ以外の人に気付かれないよう、薄く笑って。
「・・・・・・先輩達にしか・・・助けてって・・・言えなくて・・・」
でもそれと写真を見せたことって、つながらないんだけど?
「オレ・・・っ・・・・・・もう、どうしたらいいか・・・・・・」
泣き真似?
悪いんだけど、その泣き真似は大根役者以下。
オレは騙されないよ。
第一、口元笑ってるよ?
なのに全員騙されてるっぽいし。
オレは腹が立ってきた。
みんなの中での岳人の信用って、どれだけ低かったの?
皆が、岳人がそんなことするような奴だって思えるのは何故?
まさか、寝坊して今ごろやってきたジローに対しても自分達の視点から見たその話をするの?
こういう話は主観が入っちゃダメなんだ。
オレだって主観が入ってないとはいえないけれど。
これが、決裂への始まり
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