ただ捨てられた天使が自分にとってかけがえのない天使だっただけのこと
「・・・・・・な・・・ん、で・・・・・・?」
滝の言葉が一瞬わからなかった。
どうして?
跡部達があれほど自分に辛く当たったのを見てどうしてそういうことを言える?
わからない。
滝がどうしてそんなことを言うのか分からない。
滝が何を思っているのかわからない。
滝の本心が、わからない。
「どうしたの?間の抜けた声出して」
そんなに変なことを言ったかな?と滝が首を傾げた。
「どうして・・・・・・ッ!」
「だって、オレが岳人を信頼しないでどうするって言うの?」
滝は、当たり前のことを言ったんだろう。
それでも岳人は、滝の考えていることが分からなかった。
「・・・・・・なんで・・・・・・そんな事言うんだよ・・・・・・」
「跡部達を信用するよりもオレが岳人を信頼したいから」
「オ、レが・・・・・・嘘ついてたら・・・どうするんだよ・・・・・・」
「岳人、嘘ついてるの?」
そんな訳ないだろうと滝は聞き返した。
いつもの明るい岳人から一気にプチ人間不信っぽくなったなぁ、と思いながら。
それも仕方ないのかもしれない。
跡部や鳳だけでなく、特に仲の良かった忍足や宍戸にまで冷たくされればこうなるのも当たり前だ。
「あのね。岳人がオレを疑うのも分かるよ。忍足や宍戸からも冷たくされたんだからね」
「・・・・・・」
「だけど、オレは別に岳人を責めてないでしょ?」
態度もいつもどおり淡白だし、と付け加えれば岳人は本当に驚いた様子で。
やっぱり、他人を信じられなくなりつつあるな、と滝は思った。
「岳人は、自分を責める忍足達の言葉は信じられて、岳人を庇うオレの言葉は信じられない?」
「だって・・・・・・!」
「信じろよ」
滝が低い声で言った。
岳人は思わず口を閉じ、滝を凝視してしまう。
「跡部や忍足がどういおうとオレは岳人が違うって言うのならそれを信じる。
実際に自分が『現場』を見たわけでもないのに人づてに聞いて、そんなもの信じられない。
大体、忍足と跡部は『現場』を見たって言ってたけど、1から10まで見たの?
そんな訳ないでしょ。岳人の態度からして、そんなの考えるまでもないこと。
岳人が今、本当の事話すとも思えないから話したくなったときに話せばいい。
その時にオレは岳人の話を信じるだけの余裕を持ちたい。
最初に聞いた話を鵜呑みにして岳人の言い分を最初から信じなかったら、
そんなの岳人に失礼じゃない?
別に真相が知りたいとかじゃなくてね。
一人の友達として岳人のことを信じない姿勢だけはとりたくない」
泣いている君は見たくない
だから、当たり前のこと言ったぐらいで泣かないで
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