信じてもらいたい。
信じてもらえない。
オレは信じる。
誰が信じなくても。
ほら、
捨てる神あれば拾う神ありって言うじゃない?
跡部や忍足が何を言おうと、信じられなかった。
だって、もしも「そんなこと」があったとすれば岳人は真っ先にオレに話しただろうから。
根拠なんてなかった。
ただ、岳人が本当に跡部達の言ったことをしたとしたら信じられる要素が少なすぎる。
言っちゃあなんだけど、岳人はそれほど頭は良くない。
こういうことに知恵働かせるなんてできるわけがない。
もしかして、本当にやったのかな?
最初はそう思った。
それでも岳人を信じたのは、オレが岳人のことを信頼していたから。
顔には出さないけれどそこそこパニック状態になっていた。
だからこれだけが岳人を信じる根拠だった。
後になって考えれば、怪しいところはいっぱいでてきたわけなんだけれども。
そうだね、それこそシロアリみたいに次から次へとわいて出た。
シロアリはやだね。
同じように、こうやって怪しいところに気付かない訳ないのに岳人を責める彼等もヤダ。
岳人の態度を忍足や長太郎は「自分に都合の悪いことがバレた」と見たんだろう。
オレにはどう見ても都合が悪いと言うよりもただ知られたくなかっただけと言うように見えたけど。
隠し事がすぐに顔に出るから、今回はそれで知らずに地雷を踏んでしまったんだね。
「跡部も、そんなくだらない事話すくらいなら練習やったら?」
今、堂々と庇うようなことをしてこっちに飛び火したら後で岳人を守ることが難しくなるかも。
ならば、いつもどおりに振舞えばいいだけの話だ。
幸い、オレは岳人が来る前に話を聞いたときに驚いた表情を見せてていた。
少しぐらい言葉にきつい部分があっったとしても動揺していると見られるだけ。
特別不審がられるとは思えない。
「不愉快なのは跡部達だけじゃない」
そう、岳人が悪者扱いされることがオレにはたまらなく不愉快。
不愉快になっている理由は違っても、これ以上このことについて話したくないのはどちらも同じ。
「何か話したいのならコートに行きがてら話せば?」
そう、さっさと部室を出て行って欲しい。
そう言いながらいつものように日焼け止めをロッカーから出す。
元々は岳人と部室で話す時間が増えるから、と日焼け止めを使い始めた。
それがこんな形で役に立つなんて、思ってなかった。
これはいつものことなので別に咎められることじゃないはずだ。
咎められるのは、岳人と仲良くしていたらの話。
ってことは、近々オレも冷たい目で見られるのかな?
別に構わないけど。
案の定、跡部達は岳人を睨みつけて部室を出て行った。
一緒の場所にいること事態が嫌そうな顔をして。
あ。
嫌そうな顔をしているのは、お互い様か。
「岳人」
そっと名を呼んでみれば、怯えたように岳人の体が震えた。
何?と振り返って笑う顔もどこか強張っている。
こんなことされちゃそんな表情も当たり前とも思うけれど。
「オレは岳人を信じるから。岳人が違うって言うならそれを信じるからね」
それでもやっぱり、誰を信じなくなってもオレだけは信じて欲しいんだよ。
自惚れてるのかも知れない。
だけど、人にどう思われようとオレは岳人の親友だと思ってるから。
別に神様を気取ったわけじゃないけれどね
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