ガンダムSEED DESTINY アナザーストーリー
RUN IN A WORLD〜世界を駆ける者〜
モビルスーツを呼び戻そうにも、こちらを嵌めた敵がやすやすとそれを許してくれるとは思えない。 かといって、攻撃されたこの状況では新たにモビルスーツを出そうにも進路はとれないだろう。 「一番まずいのは、残りの進路を塞がれることだね」 ルーラリアは呟いた。 「ボクが敵なら、今ここで確実にこの艦を仕留める。針路を塞いで、身動きが取れなくなったところを叩く。そのために必要な条件はすべて揃っているからね」 アスランとニコルは顔を見合わせた。 「どういうことですか?」 「わからない? ミネルバの火器の半分は岩やデブリに邪魔されたり、主砲にしたって射角からすれば敵艦は撃てない。こちらの攻撃は封じられている。 後ろを取られ敵さんのモビルスーツが側面から攻撃してくる以上はこのまま小惑星を回りこむ以外にあちらからの攻撃の回避方法はない。 残るただ一つの針路、それを塞ぐのに一番効果的なものは何だと思う?」 「前に進めなくするために効果的なもの・・・・・・?」 カガリが首を傾げた。 「例えば、この岩とかね」 ルーラリアが言うのと同時に索敵を担当していた兵から攻撃を告げる声がした。 アスランとニコルはそのミサイルの予想コースを見て思わず叫んだ。 「艦を小惑星から離してください!」 「艦の足が止められます!」 ミサイルが小惑星にぶつかった。 砕かれた破片が艦体にぶつかる。 カガリが悲鳴をあげてシートにしがみついているが、アスラン自身も吹き飛ばされないようにシートにしがみつくほか出来ない。 ミサイルが次々と艦と小惑星を襲い、巨大な破片がミネルバの行く手を塞いでしまった。 「4番、6番スラスター破損!艦長、これでは身動きが・・・!」 右舷のスラスターが破損したようだ。 これでは左方向へ逃げることも出来ず、完全に進路を断たれてしまったことになる。 まさしくルーラリアの言っていた通りになったわけだ。 「狙われる・・・・・・確実にとどめを刺しにきたら、回避できない・・・・・・」 ルーラリアは唇をかんだ。 何も出来ない。 ここでこの艦を指示しているのはザフトの軍人で、カガリやラクスといった勝手知ったる仲ではない。 それに自分はここのクルーでもない。 自分が出ていれば、何とかできるかもしれないのにー――! 「エイブス、レイを出して!歩いてでもなんでもいいから、急いで!」 聞こえてきた名前はあの金髪の彼のものだ。 彼の優秀さはルーラリアも目にしていたが、彼一人ではどうにもならない。 せめてあのシンとやらが戻って来れれば何とかできるかもしれない。 彼の戦闘の様子を見ていると大した戦力にならない気もしないではないが。 その彼らも管制の少女によると例の3機と交戦中らしい。 それは当然だろう。 ルーラリアがこのミネルバの敵だったとして、今一番厄介なのは助けに戻るモビルスーツ。 彼らがこちらに来ることが出来なければ、この艦が沈むのは時間の問題だ。 せめて、アスランかニコル、それに自分の誰かが出られれば――― そこまで考えてルーラリアは自分の考えを振り払うように頭を振った。 もう戦いなんてうんざりだったはずなのに。 武器を手に取るなんてことは、したくは無いのに。 どうにもおかしい。 プラントに来てからこっち、自分のペースが乱れている。 「この艦には、もうモビルスーツは無いのか?」 ギルバートの突然の問いにルーラリアは耳を塞ぎたくなった。 この男と会ってから、自分はおかしい。 この男も、いいタイミングでルーラリアの心に波風を立てる。 「パイロットがいません」 タリアの言葉にルーラリアは目を伏せた。 パイロットならここにいる。 カガリも含めて、4人も。 ただそれは、自分達の立場を考えるのならば決して出来ないことだ。 ならば、とルーラリアは出来もしない考えを捨てた。 一刻も早くここから抜け出す方法を考えよう。 自分達が出ることなく、ミネルバがここを突破できる方法を。 BACK/NEXT あとがき どんどん短くなってる気がするけど、キリがいいのでここまで。 よし、漸くルーラリアを主体で書くことに慣れてきたぞ。(遅いです) |