ガンダムSEED DESTINY アナザーストーリー

RUN IN A WORLD〜世界を駆ける者〜








ルーラリアの体がこわばったのを見て、カガリは慌てて何か言い訳をしようと口を開く。

「議長、それは・・・」
「・・・・・・わたくしは、ユーラシス・エルミッシュです・・・・・・」

誤魔化しきれるわけが無い。
最初からこの男は知っていたに違いない。
ルーラリアの心臓は早鐘のようになっていた。

「確かに、わたくしと同じ名を持つ方もいらっしゃるようですが・・・・・・わたくしとは、別人です」

アズラエルの名前はコーディネーターたちにとって忌むべきものだ。
ブルーコスモスの最大支援企業。
そして前大戦で核を使い、戦争を泥沼へと発展させた。
敵の、大元。
それを、よりにもよってこの場で口にするなんて―――!

「そうですか・・・・・・では、なんとお呼びしましょうか?
 そうですね―――ルーラリア・エルミッシュ嬢?」
「っ・・・・・・」

馬鹿にしているのか、この男は。
ルーラリアは足を怪我していることも忘れ思わず立ち上がろうとした。
だが、ニコルがそれを制するように口を開いた。

「そのようなことを仰られて、我々にどのような返答をご期待なさるのですか?」

ニコルは言いながらちらりと目でルーラリアを牽制した。
何も喋るな、と。

「私は何も咎めようと思っていったわけではないよ。カナーバ前議長が君たちに取った処置のことは、当然私も承知済みだ。ただ、どうせ話すのであれば、本当の君たちと話がしたいと思ってね。それだけのことだよ」

ギルバートの微笑が、ルーラリアにとっては作り物に思えてならなかった。
彼女自身が人を騙すことに長けているからこそ、同類の匂いをかぎ分けることができるのかもしれない。

「・・・・・・議長、わたくし達が名を偽っていると言う前提でお話なさるのはおやめください。気分を害します」
「フフ・・・・・・それは失礼いたしました、お嬢さん」
(ぶっ飛ばすぞ、コンチクショウが)

ルーラリアの手がわずかに震えるのを見てしまったカガリは無言で目を逸らした。
このままブリッジにいる間中、ルーラリアがキレなければいいが。

「インパルス、ボギーワンまで1400」

ふと耳に入ってきたオペレーターの声に副長が当惑したような声を出す。

「いまだ針路も変えないのか?どういうことだ?何か作戦でも・・・・・・?」

はっとしたようにタリア、アスラン、ニコル、ルーラリアが同時に叫んだ。

「しまった・・・!」
「「「デコイだ!」」」





「ボギーワンをロスト!」
「ショーン機もシグナルロストですっ!」

オペレーターのメイリン・ホークが叫ぶ。

「イエロー62ベータに熱紋3!これは・・・・・・カオス、ガイア、アビスです!」
「さっきの、奪われた機体・・・・・・?」

ルーラリアの脳裏に先ほどのガイアからの通信が甦る。
あれほど取り乱した様子の少女が、もう回復したと言うのか?
それとも乗っているのは別人?

(まさか、ね・・・・・・)
「索敵急いで!ボギーワンを・・・・・・」
「距離700以内の後ろ!」

思わずルーラリアは叫んでしまった。
タリアが怪訝そうな顔をする。

「ブルー18マーク9チャーリーに熱紋!ボギーワンです!距離500!」
(いい距離だ・・・・・・攻撃したい放題、これだけ近けりゃ逃げることすら難しい)

相手の指揮官は相当頭のキレるヤツだ。
クルーゼと同じように。

「さらにモビルスーツ、2!」
「測敵レーザー照射、感あり!」

新たにモビルスーツを出されたことで逃げ道はますますなくなった。

「アンチビーム爆雷発射!面舵30、トリスタン照準!」
「ダメです!オレンジ22デルタにモビルスーツ!」
「機関最大!右舷側の小惑星を盾に回りこんで!」

ミサイルを撃たれ何とか避けようとするものの、その数は多く避けられるものではない。
迎撃システムが対処し切れなかったミサイルが艦体に、岩肌に当たる。
衝撃がブリッジを襲い、悲鳴が上がった。

「メイリン!シン達を戻して!残りの機体も発進準備を!」










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あとがき

ついつい口が出てしまうのは彼女達が口から先に生まれたからです(おい)
ああもうだめだ、なんか短い。
でも仕方ない。