ガンダムSEED DESTINY アナザーストーリー

RUN IN A WORLD〜世界を駆ける者〜







ニコルは歩きづらそうなルーラリアを支えながら艦内を歩く。
彼女はこうまでして艦内を見たかったのだろうか。

「しかし、この艦もとんだことになったものですよ・・・・・・進水式の前日に、いきなりの実践を経験せねばならない事態になるとはね」

艦内を議長自ら案内せずともよかろうに、なぜか彼はカガリやアスラン達と共に艦内を歩いている。
その前には白いザクに乗っていた金髪の美少年。
彼はレイ・ザ・バレルと名乗った。
彼は嫌そうな顔一つせずに艦内を案内していった。
元々が無表情なだけかもしれないが。

「お怪我の方は、もうよろしいのですか?」
「平気。レイ君、ゴメンね。忙しいだろうに、案内なんて頼んじゃって」
「いいえ、構いません」
「お嬢さん、彼は自分から進んでここの案内を引き受けてくれたのです。迷惑ではありませんよ。そうだろう、レイ?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・議長の仰るとおりです」

議長の問いかけにレイが答えるまでにかなりの間があった。
しかもルーラリア以上の棒読みで答えた。
しかし誰も深くは追求しない。
追求せずともその理由はわかる。
きっと議長が無理矢理案内をしろと迫ったのだろう。

アスランは敬礼をしてきた兵に礼を返しつつ遠い目をした。
ブリーフィングルームでは多くの兵が自由に過ごしている。
ルーラリアはインパルスのパイロットを目で探そうとしたが、どうやらここにはいないようだ。

「ルーラ」
「ん?」

ニコルに小声で話し掛けられ、ルーラリアはわずかに彼を見た。

「何?」
「・・・・・・似ていませんか?」
「レイ君のこと?確かに声はラウと似てるね。だけど別人っしょ」

さらっとルーラリアは答えた。
彼女自身、クルーゼとレイがまったく関係が無いとは思ってはいないが、どうしてもそう思い込みたかった。

「それよかさ、ボクは本当にこの艦に乗っていていいのかが疑問だよ」

ルーラリアは冷めた口調で言った。

「なんていうか、やる気が感じられないし、パイロットの技量にも問題ありすぎ」

先ほど覗いたブリーフィングルームでのだらけっぷり。
初陣なのではないかと思えてしまうインパルスのパイロット。
はっきり言って、たった3隻で戦争を止めようとしていた時でさえここにいて大丈夫なんだろうかと疑問は抱かなかったはずなのだが。

「・・・・・・生きて帰りたいなー」
「大丈夫ですよ。彼らは一応アカデミーを卒業しているはずですから、いざ戦闘になっても・・・・・・」
「その自信はどこから来るの・・・・・・?」

アカデミーを卒業したからといって優秀とは限らない。
アスランやイザーク達の戦闘を見ただけでそれがザフトの実力だとは思えない。
それに彼らは半端でなく優秀なのだから。
引き換え、インパルスのパイロットはときかれると、お世辞にも優秀とは言いづらい。
500歩ぐらい譲って「まぁ、優秀って事にしといてやろう」というレベル。

「・・・・・・ホント、沈んだら、沈めた奴末代まで祟ってやる」
「だけど、もし本当に沈められるとしたら祟る暇すらないでしょうね」

苦笑交じりにニコルは言った。

エレベーターの前で立ち止まったレイがドアを開き、言った。

「ここからモビルスーツデッキへ上がります」
「え?よろしいのですか?他国の者に自軍のつくりあげた艦の、そのようなところまで見学させて?」

ルーラリアは怪訝そうな顔を装う。
実際には心の中で「きっと何か裏があるんだろうけど」と皮肉を思っているのだが。
カガリ、アスラン、ニコルも当然のように顔を見合わせる。
だが、議長は笑って言った。

「勿論、申し上げられないことも多々ありますよ。例えば搭載可能機数などね」
「はぁ・・・・・・」

それにしたって、とアスランが曖昧な返事をする。
戦艦の最も重要な場所の一つであろうに、何故こうも簡単に他国の者に軽々しく見せるのか。

だが、彼らの疑問はエレベーターが開いた時に目に入ってきた風景にかき消された。
ずらりと並んだザクがそこにあった。
ルーラリアが皮肉気に口笛を吹く。

「ZGMF−1000 ザク・・・・・・・・・現在のザフトの主力機体、量産済み」
「ほう、良くご存知ですね」

ルーラリアが呟いた言葉に議長は反応した。

「そうですね、人並み以上に詳しいかもしれません」

例えば、前大戦で主力となったジンなどよりもはるかに人殺しの能力が優れていると聞いています。
ルーラリアは思わず喉まででかかった言葉を飲み込んだ。
ここでそんな挑発をしても仕方がない。

「そうですか」

彼はただ微笑むだけだった。
その様子に、またルーラリアの中で一つ、議長に対する警戒心が増えた。
どうしてきかないのだろう。
「何故人並み以上に詳しいのか」と。
それをきかない上に、自軍のことを知られていても何一つ慌てる様子が無いなんて。



(やはり・・・・・・彼は信用ならない)










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あとがき

ちょいと短めですが、とりあえずシンが食って掛かるシーンは次へ。
次っていつだろう・・・・・・(おいおい)
とりあえず3月中に4話ぐらいまで終わらせなきゃ。