ガンダムSEED DESTINY アナザーストーリー
RUN IN A WORLD〜世界を駆ける者〜
「お嬢さんの声が聞こえたので、無事だと分かりましたよ。姫もアレックス君もニコラス君も、あの混乱の中、たいした怪我がなくて本当によかった」 笑いをこらえられない様子でギルバートは4人を見た。 先ほどルーラリアが叫んだ声は医務室どころか通信を通してブリッジ中に響き渡っていた。 「しかし、本当にお詫びの言葉もない。いくらたいした怪我ではないとはいえ、このようなことに姫まで巻き込んでしまうとは・・・・・・」 カガリは首を振った。 巻き込まれてしまったのは議長だけが悪いというわけではない。 「あの部隊については、まだ何も分かっていないのか?」 「ええ、まぁ・・・・・・そうですね、艦などにもはっきりと何かを示すようなものは何も・・・・・・」 「では、どこの所属かわからない以上はこの件を早く収集せねばならないわけですね?」 ルーラリアが冷めた目で議長に言った。 議長は頷く。 「ええ。取り返しのつかないことになる前に」 「ああ、わかってる・・・・・・それは当然だ、議長。今は世界を刺激することは、なんとしてもあってはならないんだ・・・・・・絶対に」 「ありがとうございます。姫ならばそう仰ってくださると信じておりました」 ギルバートの視線がアスランとニコルに向けられた。 少し驚いたような二人だったが、ルーラリアがギルバートに牽制するような視線を向けると彼はふっと笑って視線を外した。 そして立ち上がりながら行った。 「よろしければ、まだ時間のあるうちに少し艦内をご覧になってください」 突然の提案に側に立っていたこの艦の艦長、タリア・グラディスが驚いたような声をあげる。 ルーラリアもほんの少し眉を潜めた。 (艦内を・・・・・・?軍属でもない、他国の者に?何考えてるの、この腹黒議長・・・・・・) 「一時的とはいえ、いわば命をお預けいただくことになるのです。それが盟友としての、わが国の相応の誠意かと」 (それは口実。絶対口実) ルーラリアの視線に気付いたギルバートは彼女に微笑みかけた。 途端にルーラリアは何か怖気のようなものを感じた。 (何・・・・・・こいつ・・・・・・ッ) 「しかしお嬢さん、あなたはお部屋で休まれた方がよろしいでしょう。そのお怪我では・・・・・・」 「いいえ、命をお預けする点ではわたくしも代表と同じです。それとも、わたくしが艦内を歩くと、何か不都合でも?」 「いえ・・・・・・お嬢さんがそう望まれるのでしたら私は止めませんよ。どうぞ、ご案内いたします」 「アリガトウゴザイマス、議長」 棒読みで礼を言ったルーラリアを見て、ニコルとアスランは盛大な溜息をついた。 そろそろルーラリアのこのあからさまな態度をなんとかしないと、いつか本気でまずいことになりかねない。 「オーブの、アスハ?」 シンは自分の機体の所にいたルナマリアと話をしていた。 見知らぬザクについてルナマリアに訊ねた彼は大層驚いていた。 「うん。あたしもビックリした。こんなところで『大戦の英雄』に会うとはね」 前大戦でプラント、地球双方の争いを止めるのに一役買ったカガリ達。 彼らの名は『大戦の英雄』として知れ渡っている。 「でも、何?あのザクがどうかしたの?」 「あ・・・・・・いや・・・・・・ミネルバ配備の機体じゃないから、誰が乗ってたのかなって。あの女の乗ってたのとも違うし」 「あの女って・・・・・・もしかして、強奪された3機の捕獲手伝ってて怪我しててそのくせすっごく元気な、黒い髪の女の子?」 「ルナ、知ってるの?」 「知ってるも何も・・・・・・」 ルナマリアは少し引き攣った笑顔を浮かべた。 「えーっと・・・・・・そうそう、あのザクだけど、操縦してたのは護衛の人みたいよ」 話を逸らしたな、とシンはルナマリアを睨んだが、彼女が言い出したことも気になった。 「護衛?」 「アレックスって言ってたけど・・・・・・でも、『アスラン』かも」 ルナマリアはシンの方に身体を乗り出し、ナイショ話でもするかのように声を潜めた。 「え・・・?」 「代表がそう呼んだのよ、咄嗟に。その人のことを、『アスラン』って。アスラン・ザラ・・・・・・今はオーブにいるらしいって噂でしょ?」 「・・・・・・アスラン・・・ザラ・・・・・・」 シンは何かを考えるようにアスランの名を呟いた。 「それに、付き添いのお医者さん、ニコラスって呼ばれてたけど、彼、きっと『ニコル』よ」 「『ニコル』って・・・・・・」 「彼もオーブにいるって噂。多分、間違いないわよ。もう一人の、あの女の子・・・・・・ユーラシスって言ってたけど、代表達が3人とも『ルーラリア』って呼んでたの。大戦の英雄達が一緒にいても、不思議じゃないわ」 BACK/NEXT あとがき そもそもサングラス一つで素性がばれないと思っていたアスランが悪いのか、思わず名前を呼んでしまったカガリが悪いのか。 |