ガンダムSEED DESTINY アナザーストーリー

RUN IN A WORLD〜世界を駆ける者〜






白いザクに言われた通りにルーラリアは岩陰に隠れた。
白いザク以外との通信を切ろうとしたルーラリアはノイズ交じりに聞こえてきた小さな声に手を止めた。

<死んでない・・・あ、アタシ・・・大丈夫・・・・・・大丈夫よね・・・ステラ・・・>
「・・・・・・」

宇宙に逃げただけで死への恐怖からわずかでも開放された?
まさか。
宇宙へ逃げたとはいえ追撃されないということではない。
ならば、追撃されても安全なところへ逃げた?
それはどこだ?

不意に先ほどのカオスとアビスの会話を思い出したルーラリアは白いザクとインパルスに向かって叫んだ。

「近くに敵の母艦がある!気を付けて・・・・・・っ!?」

突然ビームがルーラリアの隠れている小惑星を撃った。
爆発が起こり、ルーラリアはその衝撃をまともに受けた。

「くッ・・・・・・何!?」

巻き込まれないよう、それでいて白いザクやインパルスともある程度以上離れないように注意を払い、ルーラリアは他のビームを避けた。
同じようにインパルスも攻撃を受けていた。
インパルスの援護をしようとした白いザクが突然振り向いた。
ルーラリアもそれに気付き、息を飲んだ。

「こちらのデータに該当する艦がない・・・・・・それならあれは・・・・・・敵の、母艦・・・・・・?」



一方でインパルスは四方八方から来る攻撃を必死で避けていた。
途中で白いザクがわって入る。
白いザクは縦横無尽に動き回りビームを放つ武器を撃つ。
インパルスもそれに倣おうとする。

「それにあの敵・・・・・・モビルアーマーをあそこまで乗りこなせる奴がムウ以外にいるなんて・・・・・・」

ムウ・ラ・フラガが優れたモビルアーマー乗りであることはルーラリアも当然知っている。
しかし、今目の前で戦っているモビルアーマーはそれと同じぐらいにすごい。

インパルスが白いザクの援護をしようとするが、ビームで狙われ上手く援護するどころか近づくことも出来ない。

二つ目のビームを放つ武器を破壊された時、そのモビルアーマーは反転、離脱を始めた。

同時にルーラリアの乗ったザクに警報が響く。
パワー残量がもう尽きる寸前だった。

「ちっ・・・・・・」

その時近くで帰還信号が上がった。
知らない艦だが、ザクの中に入っていたデータにはミネルバと表示されている。

「ザフト艦、か・・・・・・いいタイミングですこと」
<女。聞こえるか>
「ん?ああ、白いザクの人?」

通信が入り、そちらの声にルーラリアは答えた。

<一時的にミネルバにお前を収容する。いいな>
「そうしてください。パワーがつきましたから」

けろっと答えるルーラリアにザクのパイロットは口頭で質問してきた。

<何故民間人がザクに乗って戦闘などしていた?>
「・・・・・・うーん・・・・・・成り行き?」
<オーブの民間人がアーモリー・ワンに何の用だ?これに乗っているということは工場内にいたのだろう?>
「それはプラント最高評議会議長殿のせい。ボクとしては最初からアーモリー・ワンに来る気はなかった」
<議長の?>
「そう。ボクは結構有名な医者だからもしもの時のために来て欲しいって言われたの」

議長の笑みを思い出し、徐々に不機嫌になっていくルーラリア。
はあ、と大きく溜息をついた。

<怪我をしている、と言ったな?>
「ああ、うん。左ひざ、皿が割れてるかも。あと右腕の出血も結構ある」

ザクが着艦するのが振動で伝わった。
コックピットを開けようとする前に外からコックピットが開けられた。
金髪の、女性とみまちがうほどに綺麗な少年がそこにいた。

「お前が・・・・・・?」

その少年はルーラリアを見て驚いたような顔をした。
ルーラリアは右腕からかなりの出血をしていたし、左足もほとんど力が入らず投げ出すようにしていたからだ。

「あ・・・・・・白いザクの人?」

笑って見せるが、戦闘から離れたという安心感から来る痛みにルーラリアの顔が少し引き攣った。

「痛むのか」
「そりゃね」

これだけの怪我で痛まなかったらそれは痛覚が壊れてると言うことだろう。

「少し待っていろ」

少年は近くにある艦内通信機を取り上げた。

「レイだ。先の戦闘で民間人を収容した。かなり酷い怪我をしているようなのでそちらに回す」
「そんなに酷い怪我じゃないよ。血が目立つからそう見えるだけで・・・・・・」
「いいから、医務室へ・・・・・・」

途端に艦内が大きく揺れた。

「何だッ!?」
「・・・ッあ!」

ルーラリアの左足に鋭い痛みが走った。
金髪の少年はまた艦内通信機に手を伸ばした。

「ブリッジ、どうした!何があった!?」

ブリッジからの応答はない。
少年は舌打をすると近くにいた整備兵の一人に声をかけた。

「ヴィーノ!そこの女性を医務室まで連れて行ってやれ!」
「え!?」

ヴィーノ、と呼ばれた少年は面食らったような声をあげた。

「そこの女性って・・・・・・」

ザクの中を覗き込んだヴィーノはルーラリアの様子を見て悲鳴をあげた。
血だらけで左ひざを抱えたルーラリアの姿を見たからだ。










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あとがき

痛いだけでたぶん傷自体はそう深いものではないと思われます。
大丈夫だよ、ルーラリアだし。