ガンダムSEED DESTINY アナザーストーリー

RUN IN A WORLD〜世界を駆ける者〜






ルーラリア達が宇宙空間へと出て行った頃、アスラン達はミネルバへと入っていった。
確実に安全と思われる場所ではないが、議長がここへ入っていくのを目撃したし、ここならばカガリの手当ても出来るだろうと思ったからだ。

だが、艦内に降り立った途端、赤い髪の少女が3人に銃を向けた。

「そこの3人!動くな!」

少女がこちらに銃を向けた。
頭を抑えてふらつくカガリをニコルが支え、アスランは二人を庇うように前に出た。

その時―――

<本艦はこれより発進します。各員、所定の作業についてください。繰り返します。本艦はこれより―――>
「動くな!」

思わず艦内を見上げたアスラン達に少女はまた向き直った。

「何だお前たちは?軍の者ではないな?何故その機体に乗っている!?」
「あ・・・・・・」
「銃を下ろせ」

アスランは何か言いかけたカガリを手で制した。
ニコルもカガリの肩を抱いて前にでないようにと無言で牽制する。

「こちらはオーブ連合首長国代表、カガリ・ユラ・アスハ氏だ。オレは随員のアレックス・ディノと―――」
「医師の、ニコラス・エルミッシュです」

名乗った後、少女が銃をわずかに下ろした。

「デュランダル議長との会見中、騒ぎに巻き込まれ、避難もままならないままこの機体を借りた」
「オーブの・・・アスハ・・・・・・?」

少女が少し驚いたように呟いた。

「代表は怪我をされています。手当てをさせてください」
「議長がこちらに入られたことは知っている。お目にかかりたい」

ニコルとアスランがそう言うと少女はようやく銃を下ろした。





廊下を歩いているとミネルバが発進する音が聞こえた。
振動も伝わってくる。

「避難するのか・・・この艦・・・?・・・・・・プラントの損傷は、そんなに酷いのか・・・?」

心配そうに言うカガリを、前を歩く少女とアスランが見た。

「・・・・・・アイツ・・・・・・無事かな・・・・・・」

カガリがそう言ってニコルを見た。
アスランも同じようにニコルを見る。

「・・・・・・大丈夫です、きっと」

根拠なんてない。
本当はすぐにでも彼女を探しに行きたいぐらいだ。
だが、ニコルはつとめて平静を装った。
相当参っている様子のカガリの前で取り乱すことは出来ない。

突然艦内に警報が鳴り響いた。

<ミネルバ発進。コンディション・レッド発令、コンディション・レッド発令。パイロットは直ちにブリーフィングルームへ集合してください>

慌しく兵が動き回る。
アスランは少女に大声で尋ねた。

「戦闘に出るのか、この艦は!?」
「アスラン!」
「!」

少女が驚いたようにアスランを見たが、次のカガリの発言には不思議そうな表情になった。

「アスラン・・・?」
「あ・・・・・・」

カガリが失言に気づいた時にはもう遅い。
ニコルは頭を抱えたくなった。

(カガリ、政治を勉強するよりも先にこういう場では偽名で通すと言うことを理解して下さい・・・・・・)

アスランがアレックス・ディノと名乗ってからわずか5分もたたない内に本名を呼んでしまうとは。
これでは確実に気づかれてしまっただろう。
アレックスはアスラン・ザラ。
前大戦の英雄でオーブに亡命している彼だということに。





案の定、と言うべきか。
カガリが手当てを受けている間、少女はずっとアスランを見ていた。

「アレックス、先ほども言ったとおり、代表のお怪我はそう酷いものではありませんよ。安心してください」
「・・・・・・ああ・・・・・・」

普通の会話でもしてさっきのことを忘れさせないと、とは思うがかえって逆効果になる可能性も高い。
まぁ、サングラスもなくした今となってはアスランも誤魔化しきれるとは思っていないだろう。

不意に医務室のコールが鳴った。

<レイだ。先の戦闘で民間人を収容した。かなり酷い怪我をしているようなのでそちらに回す>

それだけ言って切れた通信にアスランとカガリが顔を見合わせた。
そして二人はニコルを見た。
ニコルは真っ青な顔をしていた。

「・・・・・・ルーラ・・・・・・?」










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あとがき

だから大丈夫だって、ニコル。
あの女はそう簡単にくたばったりしないから。