ガンダムSEED DESTINY アナザーストーリー
RUN IN A WORLD〜世界を駆ける者〜
白いザクがアビスに対して劣勢に見える。 パイロット同士の技量もさることながら機体同士の性能の差もあるのだろう。 ルーラリアはほんの少し焦ったような表情になった。 (インパルスのパイロットは実戦経験がないに等しい・・・・・・実際、使い物になるのはボクとあの白いザク・・・・・・だからこそボクのパワーが尽きる前にこいつらなんとかしなきゃいけないのに・・・・・・) パワー残量はもう少しでレッドゾーンになるだろう。 その時、何かがこちらに飛んできた。 小型の戦闘機だろうか。 それとも、ストライクのように換装する装備なのだろうか。 <シン!> 白いザクの少年がカオスの攻撃からインパルスを庇うようにして入ってきた。 それを見てルーラリアもあれはインパルスの装備だろうと直感的に判断した。 アビスが白いザクに攻撃を仕掛ける。 <そこの女!インパルスが装備を換装するまで敵をひきつけろ!> 「それもいいんだけど、こっちのパワーがそろそろやばいんです。ご理解いただけて?」 もうビームもアックスも使うことは出来ないだろう。 ならば、とルーラリアはカオスに近づき、何も持たない素手で殴った。 <アイツ、むちゃくちゃだな・・・・・・> アビスのパイロットが呟くのが聞こえた。 「無茶だろうとなんだろうとやらなきゃならないんでね。そちらさんが投降してくれないのなら、どんな方法使ってでも捕獲させてもらう。インパルスのパイロットにも、白いザクのパイロットにも・・・・・・」 人殺シナンテサセナイ ルーラリアの動きが変わった。 俊敏な動きでもう一度カオスを殴った後、背負い投げの要領で出来る限り遠くまでカオスを投げ飛ばすとそのままガイアへと向かい、その腕を蹴り上げた。 そしてそのままコックピット付近を殴りつけた。 「いくら格闘用じゃないからって、このザク動き悪すぎる・・・・・・」 そうしているうちにインパルスは装備を換装していた。 パワーも回復したようで、敵機は焦りからかインパルスに集中攻撃を仕掛ける。 しかし、装甲のためダメージはほとんどない。 インパルスはそのままカオスとアビスを退け、ガイアへと攻撃を開始する。 <やめてッ・・・・・・あっち行ってェーッ!> <落ちろーっ!> 怯えた悲鳴はガイアのパイロットだ。 ルーラリアは内心ガイアのほうを助けようかと思った。 何しろ捕獲と言う命令が完璧にインパルスのパイロットの頭から抜けているし、ガイアのパイロットの怯えようが半端ではない。 いくらガンダムを強奪し戦いを引き起こしたとはいえ、感情的にはどうもガイアを庇いたくなる。 アビスとカオスは動きの止まったザクを見て一斉にビームを放った。 幸い一発もあたりはしなかったのだが(どんな狙い方をしているのだろうとルーラリアは本気で敵の心配をした)ビームはコロニーの壁にあたり、壁を溶かした。 大きな穴があき、そこから空気が外に漏れていく。 近くにいたガイアが外に放り出された。 それを追って、カオスとアビスも逃げるようにして外へ出て行った。 宇宙空間に放り出されてはたまらない。 何しろパイロットスーツすら着込んでいない状態で、しかも怪我の状態もあまり思わしくない。 いくら自分が医者とはいえ応急処置すらしてなければ一般人と同じことだ。 望ましいのは今すぐこの場を離れ安全な場所に避難し、怪我の手当てをすること。 だが、機体にはそれが出来るだけのパワーも残っていない。 ルーラリアは唇をかんだ。 「・・・・・・しゃーない、なるようになる!」 機体を気流に逆らわせるだけのパワーがもったいない。 ルーラリアはそのまま気流の流れに任せ宇宙へと出て行った。 驚いたことにインパルスも宇宙へと勢いよく飛び出していった。 その後を追うようにして白いザクも宇宙へと出てきた。 「ええと、白いザクのパイロットさん?」 <なんだ> 「今更なんだけれど、ボクはオーブの民間人です。相談なんだけど出来ればこれ以上戦闘に巻き込まれたくない。これだけやっといて民間人面するのもよろしくはないんだけれど、このザクのパワーもそろそろ限界ってこともあるし、何よりこっちは怪我してるの。この近くに機体を収容できそうな場所または戦艦はあるかな?」 言いながら、ルーラリアはほんのわずか目の前がかすむのを感じた。 「・・・・・・まだ命は大丈夫だけれど、出血があるから・・・・・・」 <・・・近くにそんな場所も戦艦もない。とりあえず戦闘に巻き込まれないように近くに隠れていろ。戦闘が終わればそれから・・・・・・> 「・・・・・・アリガト・・・・・・」 ルーラリアは目を閉じた。 BACK/NEXT あとがき そりゃアレだけどかどかと戦ってりゃパワーもなくなります>ルーラリア。 つーかケガしてんのにすっげー元気ですね、この女。 次はミネルバに入ったアスラン達のお話でしょうか。 |