ガンダムSEED DESTINY アナザーストーリー

RUN IN A WORLD〜世界を駆ける者〜








一方でアスラン達は戦闘の及ばぬところまで飛んできていた。
負傷した兵士や壊れかけたモビルスーツなどが多くあり、その光景を見てアスランとニコルは溜息をついた。

「・・・・・・なんだって、こんなことになっちゃったんでしょう・・・・・・・・・」
「・・・・・・」
「先の大戦の傷すら癒えてないんですよ・・・・・・」

それとも、戦争でも起こしたいと思ったのだろうか。
ニコルはまた大きく溜息をついた。

「ともかく、これからどこへ行くか・・・・・・」
「カガリの傷の手当てもしないといけませんよね」

しかし、周りの状況を見るに、カガリの治療をできる状況とは思えない。
負傷者も多くいるし、モビルスーツもどこへ行けばよいのかと混乱している。

『Bブロックもダメだ!動ける機体はミネルバのドッグへ行ってくれ!負傷者もだよ!』

喧騒の中聞こえた声にニコルとアスランはモニターを見る。
そのミネルバと思しき戦艦に向かう一台の車を見てアスランが声をあげた。

「議長・・・?」
「議長もミネルバへ?」

確かに負傷者を収容するに当たってミネルバへ行けと言われたのならそこは安全なのかもしれない。
しかし、議長が行くとなればそこよりも安全なシェルターへ向かうべきではないのだろうか。

「ぅ・・・・・・」

その時、カガリが微かに動いた。

「カガリ?」
「ァ・・・スラン・・・」
「大丈夫か?」
「・・・ああ・・・・・・大丈夫・・・・・・」

そう言いつつもカガリは右手で頭を抑えた。

「すまない・・・つい・・・」

申し訳なさそうにアスランは謝った。
しかし、一国家の代表の護衛できていたのにもかかわらずその代表に怪我をさせてしまうとは。
ルーラリアが同じ機体に乗っていなくてよかった、とニコルは思った。
同じ機体に乗っていたら、絶対に殴られるだけじゃすまないだろう。

「すぐに安全に降りられる場所を探しますね」

ニコルはそう言って機体を動かした。
この場合、ミネルバへ行けばいいのだろう。
なにせ負傷者もいるし、一応まだ動けるモビルスーツに乗っているのだから。

カガリはモニター越しにメチャクチャに破壊された工区の様子を見た。

何故こんなことになってしまったのか―――









<なんてやつらだ・・・奪った機体でこうまで!>

インパルスのパイロットがカオスとアビスの攻撃を避けながら言った。
奪った機体と言うことは当然それを操縦するのも初めてのはずなのに、彼らはもうその機体の特性を掴んでいるかのように攻撃してくる。
連携もなかなかのものだし、インパルスのパイロットがこれが初陣だと言うことを差し引いても彼らは強い。

<脱出されたら終りだ!その前になんとしても捕える!>

ブレイズザクファントムから聞こえたその声にルーラリアは一瞬動きを止めた。
あまりにも声が酷似していた。

(ラウ・・・!?)

違うと分かっている。
彼は死んだ。
キラとの戦いの際、ジェネシスの自爆に巻き込まれて。

「違う・・・・・・ラウは死んだんだ・・・・・・それに、彼と声が似ている人がいたって不思議じゃない・・・・・・」

無理にそう思い込み、ルーラリアは真正面から放たれたアビスのビームを避けた。

ガイアのパイロットが何か恐ろしいものを振り切るように叫び、コロニーの外壁に攻撃を仕掛ける。
それを見たインパルスはカオスの攻撃を振り切り、ガイアに二本の剣を投げつける。
アビスがガイアに当たる直前でそれを打ち落とした。
カオスとアビスはガイアを守るように立ちふさがった。

「・・・・・・命令は捕獲じゃなかったんですか、インパルスのパイロットさん」

ルーラリアは呆れたように呟いた。
もっとも、今までの戦い方からしてインパルスのパイロットが命令を覚えていたとも思えないし、覚えていたとしてもそれを実行できるだけの実力があるようには思えなかった。
捕獲するのは破壊するよりも難しく、当然1対1または複数対少数で戦うのであればお互いのパイロットの技量に明確な差がなければ無理な話だからだ。

カオスがインパルスを、ブレイズザクファントムがアビスを攻撃し始めた。
それを見てルーラリアはとりあえずガイアだけでも捕獲しておこう、とガイアに向かって機体を走らせた。

「ガイアのパイロットさん、聞こえますかー?聞こえてたら応答願いまーす。ま、返事がなくても喋らせてもらうけど。インパルスともう一体の白いザクは知りませんが、少なくともこちら・青いザクはあなたの機体のコックピットを狙い撃ちするだけの理由がありません。あなたを傷つけたくもありません。よって速やかに投降をお願いしまーす」

何ともやる気のない声がその場の機体すべてに聞こえた。

「繰り返します。速やかに投降をお願いしまーす。あ、できればそちらで戦ってらっしゃるカオスとアビスも投降してくださーい。っつーか投降しろ」

まったくやる気が見られない彼女の声は挑発と思われたらしい。
カオスとアビスが同時にビームを撃ってきた。

「うわっ、別にふざけてるつもりなんてまったくないのになー」

ルーラリアは機体をわずかに上昇させることで攻撃を避けた。

「そっちのパワーももうなくなるんじゃないの?これだけ派手にドンパチやってんだし。それに機体がこれ以上傷ついたらお互いのためにならないでしょ?間違ってコックピットなんて撃ち抜いたら、ガイアのパイロットさんも怖がってるように死んじゃうよ?まだ先の長い人生、こんなところで終わらせたら損しちゃうじゃん。だから投降してくれればこちらは君たちを攻撃しない、機体も壊れない、ついでに誰も死なない。いいこと尽くめっしょ?」
<却下!!!>

カオスとアビスのみならず、インパルスとブレイズザクファントムからも大声を出された。

「・・・・・・あーはいはい、分かりました。攻撃をやめたくないんだね?了解。要するに貴方たちは、目の前の敵機のコックピットを思う存分撃ち抜きたいと。相手を殺してもいいし、自分が殺されても構わないから、とにかく戦いを止めたくないと。そういうことでしょうか?」
<命令は捕獲または破壊だ!>

インパルスのパイロットが怒鳴った。
どうやらルーラリアが完全にふざけていると思っているらしい。

<それに相手だって撃ってきてる!このままにできる訳ないだろ!だから・・・・・・!>
「だから相手が投降すればいいだけの話でしょうが」

言いながらルーラリアはいつの間にかガイアのすぐ側まで来ていた。

「ガイアのパイロットさん、そういう訳だから投降してくれる?死なずにすむよ?」
<やぁめとけって!ステラ、投降なんかしたらネオにもう会えなくなるんだよー>

アビスのパイロットの声を聞いた途端、ガイアのパイロットはまた悲鳴を上げた。
そしてメチャクチャに背中のビームを撃つ。

「うわっ!」

上手く避けきれず、ザクの左足をビームが掠った。
ルーラリアは舌打ちをする。

(彼らのパワーが残り少ないってことはこっちのパワーも少ないってこと・・・・・・ちょっとぐらいボクの提案に協力してくれてもいいんじゃないの、インパルス?)











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あとがき

シン、3機落とす気満々。