こういうことは、結構辛い







何事もないと不安になる
























朝練では何事もなく時間だけがすぎていった。
本当に何事もなく。

だけど何事もないっていうのはいいことばかりじゃない。
本当に何事もないって事は、要するに、存在そのものを無視されていたから。

今までシカトとかしたことは何度かあった。
滝がレギュラー落ちた時なんて、顔を合わせるのが怖くて、何を言っていいのかわからなくて。
3日ぐらいシカトしてた。
目を合わせることも、挨拶することもなかった。
その後やっぱり仲良くしたくて『ごめん』って謝ったら滝は笑って許してくれた。
オレにはそれが泣けてしまうぐらい嬉しかった。

だけど、自分がされるとこんなに寂しいことだなんて気付かなかった。





滝とはクラスが違った。
レギュラー同士は結構同じクラスになっているのだけれど、それが今では辛い。
滝のクラスには宍戸とジローが居る。
だけどオレと同じクラスなのは―――



「岳人、何かあったら絶対にオレのところ来るんだよ」

滝に心配されるのも無理はない。
何しろ、いくら教室が隣同士とはいえオレのクラスには跡部と侑士がいるから。
何をされるか予想がつかない。
いや、寧ろ予想がつくから予想したくない。

「怖いのは当たり前だよ。震えて当然。
 だから助けを求めることはちっともおかしいことじゃない。

 ・・・・・・オレは、岳人の味方だよ」

滝の言葉が、とても嬉しかった。















滝からの忠告でとりあえず自分の席につくと机の中に不審な手紙類が入っていないかを調べる。
手紙が入っていたら封を開けずに捨てる。
こうした場合に中に入っているのは大抵カッターの刃やら剃刀やら。
受取人に怪我をさせることを目的とするものが多数ある。

どうして滝がそんなに詳しいのか知らないが、岳人は素直にそれに従った。
だが、予想に反して机の中には何も入っていなかった。
ほっと溜息をつく。

何も入っていなくて良かった。
何も―――――?



クスクスと笑う声が聞こえた。
はっとしてそちらを見ると侑士と跡部が笑っていた。
視線だけをこちらに向けて。

「・・・侑士・・・跡部・・・・・・」

話し掛けるのに勇気がいるなんて。
岳人ははじめてこの二人と気軽に話そうとできなかった。

「・・・・・・オレの辞書とか・・・・・・知らない・・・・・・?」

辞書や参考書は持ち帰るのが重いから、という理由で学校に置いていくことが許されている。
岳人も当然持ち帰ったりしないから机の中においてないと言うのは不自然だ。
勝手に人の机から借りていく奴なんていない。

侑士と跡部なら知っていると思った。
そしてその予想はおそらく当たっていたのだろう。

彼らは岳人の質問に答えなかったが、笑って言ったのだ。



「そーいや忍足。お前に渡したゴミ、どうした?」
「捨てたに決まっとる。あんな重いゴミ、いつまでも持っとれんわ」








































天使の痕跡は、徐々に消される





















コメント

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ちなみに中学の時の星夜の
ロッカーは、ゴミ箱でした。給食の残りとか紙くずとかが本人の気付かぬうちに
詰め込まれており、ロッカーの中においてあった音楽のファイルは
二つに折られて男子が野球のバット代わりに使っていました。
女子から貰ったもので誰のファイルかわからないから使った、とのことですが、
きっと彼らは日本語も読めないほどの知能の持ち主だったんだと思います。

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