ガンダムSEED DESTINY アナザーストーリー

RUN IN A WORLD〜世界を駆ける者〜







『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・おい、何故貴様等がここにいる?』

通信から聞こえてくる不機嫌極まりない声にミネルバのブリッジは凍りついた。
ただ一人、懐かしいなぁ、と頷くルーラリアを除いて。





そもそもルーラリアとニコルがモビルスーツを貸してくれと揃って頭を下げたのが2時間ほど前だったはずだ。
そして直後に来たアスランも同じことを頼み、それを議長が面白そうに了承した。
なので怪我人のルーラリアは議長と同じ空間にいることでトゲトゲした空気のままブリッジに居座り、気まずい空気の中、カガリが訪れたのが1時間ほど前。

それから現場についてみればジュール隊が所属不明のモビルスーツ・ジンと交戦していて。
モビルスーツに乗ったアスランとニコル、それにミネルバのクルー達が何故かその場にいたボギー・ワンと強奪された3機のモビルスーツが入り混じって戦闘となり、破砕作業が思うように進まず。
漸くユニウスセブンを二つに割ったはいいが、そこでアスランが呟いた言葉がイザークに届いてしまったらしい。
声だけなら気付かれなかったのかもしれないが、その後ニコルがアスランの言葉に同意した声が聞こえ、ディアッカがついいつもの調子で会話を続けてしまったのだ。

結果。

『へぇー、宇宙来てたのかよ。久しぶりだな、ニコル』
『お久しぶりです、ディアッカ。イザークもお元気ですか?』
『声聞いて分かるだろ?元気も元気。あ、もしかしてお前がいるってことはタヌキも来てんの?』
「誰がタヌキだって?泣かされたい?この降格炒飯」
『ルーラ、降格もチャーハンも的を得ているとは思うが、言いすぎだ。というか、どうしてお前が通信に入ってくる?』
「ちょっとミネルバの通信をお借りしただけ。気にしないで、アスラン」
『おい』
『それにしても、まさかこっち来てるとは思わなかったな。いつから?』
『アーモリーワンからです』
『おい・・・』
『アーモリー?ってことは、強奪騒ぎあったとき、いたのか?』
『ああ、いた。カガリ・・・代表と一緒にな』
『オイ・・・・・・』
「る、ルーラ・・・」
『ああ!それじゃあ正体不明の仲間ってお前達だったの?活躍が伝わってたんだぜ。強奪されたモビルスーツを相手に奮闘ってな』
「ホント?うわー、有名じゃんよ」
『オイ・・・・・・・・・』
「ルーラったら・・・」
『そうそう、話変わるんだけど、ミリィ元気か?』
『え?ディアッカ、連絡とってないんですか?』
『オレ達も最近会ってないが、多分元気・・・・・・』

『貴様等、戦闘中にくっちゃべるな、
この腰抜け共がぁーーーっっ!!!』


TPOを完全無視した微笑ましい会話についにイザークがキレた。
まぁ、当然といえば当然だろう。
ユニウスセブンの破砕作業だけでなくボギー・ワンとも戦っているような状況でこれほどのんきな会話をしていれば。

『アレが、ヤキンを生き抜いたパイロット達の余裕・・・・・・』

シンの悔しそうな声が通信を通して聞こえてくる。
自分にはそんな余裕がないのが気に食わないのだろうか。
だが、そんな余裕はなくてもいい。
あっても困る。

「・・・それよりもさ、イザーク、ディアッカ。ボクは怪我しててそっちに出られなかった。自分の手で、地球を守れない。君達に思いを託すしかできない。
・・・・・・・・・・・・地球の未来を、頼めますか?ジュール隊長、エルスマン殿。それに、破砕作業に出ている皆さん」

真剣なルーラリアの声に場が静まり返る。
一瞬の静寂の後、頼もしい声が返ってきた。

『当たり前だ。このオレが、そんなことをさせると思うのか、腰抜けめ』
『お前は何も心配せずに見てればいいんだよ。オレらの結束力、忘れたわけじゃないだろ』
『地球は僕達にとっても大切な場所ですから』
『落とさせやしない。絶対に!』



メテオブレイカーを持ったディアッカを改造された2機のジンが襲う。
アスランとイザークがそのジンに向かう。
ニコルはその場を彼らに任せ、ガイアと交戦するルナマリア機の援護に向かった。

「そうか・・・・・・君達は先の対戦で、ジュール隊とも面識があったのだね」
「ええありました知り合いです寧ろその前にいたクルーゼ隊からの付き合いですそれが何か」

ギルバートの言葉にルーラリアは早口と貼り付けたような笑顔で答えた。
そして彼女はあっけに取られているメイリンに向かって頭を下げた。

「メイリンさん、ごめんなさい。勝手に通信をお借りしてしまって」
「え!?あ、いえ・・・・・・」
「もう少し、通信をお借りしますね」
「は、はいっ!・・・・・・・・・・・・・・・・・・え?」

メイリンはルーラリアの言葉を聞き間違えたかと思った。
だが、彼女は確かに言った。
もう少し通信を借りる、と。
メイリンやタリアの返事をまたずしてルーラリアは全周波でその場の全艦・全モビルスーツに呼びかけた。

『私は、地球連合軍ユーラシア所属特務隊、ユーラシス・アズラエル准将である』
「!?」
「ルーラ!?」

カガリが驚いてルーラリアを見やる。
この状況で本名を名乗り、更に地球軍に所属があるともばらしてしまう?
何を考えているのか。
ミネルバクルーも彼女の行動に目を見開いている。

『私は現在、ザフト軍艦ミネルバに搭乗している。当艦はユニウスセブン破砕作業を行う目的である。また、同じくザフト軍艦であるナスカ級艦ボルテール及びルソーも、目的を共にしている。
現在カオス、ガイア、アビスを所有している所属不明の艦に告ぐ。貴艦が地球軍、またはそれに準ずる部隊に所属する艦であるのならば、その目的は同じであるはずだ。直ちに戦闘を停止せよ。これは地球軍ユーラシア部隊所属准将、ユーラシス・アズラエルからの命令である。繰り返す。直ちに戦闘を停止せよ』





『直ちに戦闘を停止せよ』

ルーラリアの声は当然その場の全艦・全モビルスーツへと伝わった。
不明艦―――ガーティ・ルーの艦橋ではネオ・ロアノークがその声に首を傾げていた。

「どういうことだ?アズラエル准将って言えば、ブルーコスモスの前盟主の血縁だろう?それがどうしてザフトと一緒にいるんだか」

彼は少し考えた後、笑った。
もしも本当にこのメッセージがユーラシス・アズラエルからのものだとしたら逆らうわけにはいかないだろう。
しかし、この場合は逆らったとしても何も問題はない。
聞こえてきた声を、偽者と判断すればいいのだから。

だが、ネオの思惑は続いた声に打ち切られた。

『この命令を聞き入れず、地球を救わんとする者達を攻撃するというのであれば、私は貴艦を地球に敵対する極めて悪質な部隊と判断する。地球連合・ザフト両軍に対し、貴艦がユニウスセブン破砕作業を妨害した、として即刻に通告できる用意もある。
貴艦の賢明な御判断を願う』

ブチン、と切られた通信にネオは苦笑した。
ここはザフトに協力するなり撤退なりしなければ自分達は地球軍、ザフト軍どちらからも攻撃対象にされるというわけだ。
確かにザフトと一緒にいる以上、ザフトにガーティ・ルーが悪質な部隊だと言う事は可能だろうし、本当にアズラエルの名を持っているのならば地球軍へと通告することも可能だろう。
これがただの地球軍の准将であるなら命令無視をしても構わない。
なにしろ自分達の背後にいるのはその地球軍をも動かせる人物なのだから。

しかし、それでも彼女の言うことは飲み込まなくてはいけないだろう。
何しろ彼女の名は、自分達の上司が聞いたら間違いなく腰を抜かして慌てふためくだろう名であるから。

「仕方ない、撤退するぞ」
「・・・よろしいのですか?」

ガーティ・ルーの艦長、イアン・リーがネオを見る。
まさか彼女の命令を聞き入れるとは思っていなかったのだろう。
だが、ネオは慌てる様子もなく、むしろ面白がるような声でそれに答えた。

「ああ。本物だろうと偽者だろうと、さすがに『死の天使』ユーラシス・アズラエルの名を出されてはな。・・・・・・それに、もう一つやばいことがある」














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あとがき

久々更新したらルーラリアが好き勝手暴れました。
どうもウチのオリキャラ達は私が脳内でシュミレートしているようには進んでくれないようです。