UNDO・プロローグ
大きな怪我ではなかった。
そのときはそう思った。
ただ、その日から腕になんとなく違和感を感じて。
数日後、知り合いに診てもらったら、思いのほか怪我は大きかった。
リハビリが必要といわれた。
何年かかるかわからない。
もしかしたら、一生元のようには動かなくなるかもしれない。
覚悟が必要だった。
「本当に、これでいいのかい?」
手紙を読み終えた竜崎は目の前で緑茶を飲んでいる青い髪の少女を見た。少女は溜息をつきながら湯飲みを机に置き、頷いた。
「本人がいいと言っているのだ。我々にはどうすることもできぬ」
「それにしたって、わざわざこんなことをする理由がないだろう?」
「理由などというものは本人のみが分かっていれば言いだけのこと。我等がいくら騒ごうと、本人が話す気がなければ無理に聞き出すこともない」
「しかし、ねぇ・・・・・・」
竜崎は少女から渡された手紙に再び目を通した。そこにかかれていた内容は、ある一人の人間の覚悟だった。
少女は竜崎にその手紙を渡すために青春学園を尋ねていたのだった。
「彼は・・・・・・『ユース』は、軽軽しくこのようなことを言い出す者ではない。
竜崎先生。彼の決意を、認めてやってはくれまいか?」
「・・・・・・」
「連絡は橙華、それに景吾・・・・・・跡部を通じてどうにでもなる。頼む。了承してくれ」
少女は力強い瞳で竜崎を見た。
竜崎はそれに反対する様子はない。かといって賛成かといえばそれもまた違う。少女はここでどうしても彼女の首を縦に振らせねばならなかった。それが『ユース』の望みなのだから。彼が再び立ち上がるために必要なことだから。
ややあって竜崎はわかった、と言った。
「アタシにもコイツを止める権利はないよ。好きにやらせてやってくれ」
「竜崎先生・・・・・・」
「その代わり、月に一回は必ず連絡をくれ。心配でたまらんよ、まったく」
「約束しよう。連絡は必ず入れる」
少女はソファから立ち上がり退室しようとした。
「待ちな、麗悟」
「!」
名を呼ばれた少女は何事かと竜崎を見やった。
「この件、アンタと橙華以外に誰が関わるんだい?」
少女はフッと笑った。
「橙華、景吾、さくや、カナ。つまるところはいつものメンバーだ」
「・・・・・・信用できるメンバー集めてるねェ・・・・・・」
「それはどうも」
「壮大な計画になりそうかい?」
「少なく見積もっても3年はかかるそうだ。カナのときに比べればそう長くはあるまい」
麗悟は今度は振り向かず部屋を出て行った。
残された竜崎は大きな溜息をついて手紙をもう一度見た。
「親子二代に渡って・・・はた迷惑なやつらだよ」
『竜崎先生
迷惑かけてごめん
だけど、どうしてもこれ以上ここにはいられない
ここにいたら、オレの腕は治らない
ここで努力しても元のオレには戻れる・・・
けど、それだけじゃダメなんだ
オレはもっと強くなりたい
上に行きたい
だから日本を離れる
もっと強くなったら、必ず戻る
今まで、ありがとう
感謝してる
さよなら
Youth』
あとがき
元々10年後設定だったものを立海の登場に伴い大幅に書き換え。
大体、氷帝戦初期のときに書いてたもんだから鳳はテニスやめてる設定だし、宍戸は一人でテニスしてるし
日本代表に立海人は一人もおらず。
ありえないありえない。