真実





目を覚ますと、部活の後輩が3人。
名前は犬山、守月<カミツキ>、それと―――よく覚えていないけど、たしか城井、だったと思う。
オレは全裸でベッドに寝かされていて、両手は手錠でベッドに括りつけられている。

「先輩、オハヨーゴザイマス」
「って言っても、今は夜ですけどねー」
「ちなみにここはラブホで、先輩は可愛い仔猫ちゃん、オレ達は可愛い狼さん」
「・・・・・・何・・・・・・言ってんだよ・・・・・・?」

起き上がろうとしてもガチャガチャとうるさい手錠の音が響くだけでどうにもならない。
そんなオレを見てニヤニヤと笑うこいつら―――理解できない。

何で?
どうして?

「外せ・・・っ・・・・・・これ、外せよ・・・っ!」

怖かった。
ただ怖くて、一秒でも早くここから逃げたかった。
何も理解できない中で、たった一つだけ理解していたことは。



オレは、どう考えたって犯されるって事。





「まずはどうする?」
「しゃぶってもらいたいんだけど、いきなりそんなことするのは先輩が可哀想だよなー」
「そんじゃ、まずは写真でも撮ろうぜ。先輩の全裸撮影会!」

声と同時にシャッターが押される。
撮ったのは犬山だ。
オレは反射的に目を瞑った。
そんなことをしてもこの状況が変わるわけでもない。
ただ、されていることを視界にうつさないようにするだけの行為だ。

「へへっ、綺麗に撮れてる」
「普通に写真撮ってても面白くねーよ。どうせならこっちも撮ろうぜ」
「なッ・・・!」

城井に無理矢理足を広げられて頭につくぐらいに持ち上げられる。
その時にフラッシュたかれて。
何処を写されているかなんて考えなくてもわかること。
はずかしくて顔から火が出るってのはまさにこんな時だろうか。

「先輩って、ここも綺麗なんですね。もう誰かに使われてるとか・・・?」

カメラを置いた犬山が直腸に無造作に指を入れた。
感じた事のない痛みと異物感にオレは思わず裏返った声で悲鳴をあげた。

「やめっ・・・」
「ちょっと待てよ、犬山」

ただ見ているだけだった守月が犬山を止めた。
止めてくれるのか?
オレはかすかな希望を持っていた。
だけど。

「犯すんなら、これ飲ませろよ」

守月は何かの錠剤を鞄から取り出した。
それがなんなのか、オレにはわからなかった。
ただ、ろくな薬じゃないんだろうとだけ思った。
犬山も城井もそんなものを知らなかったのだろう。
怪訝そうに守月を見ている。

「なんだよ、それ?」
「MDA」

言われた言葉がオレには理解出来なかった。
犬山も理解できなかったようで、だけど城井だけは違った。
顔色を変えたかと思うとオレから手を離してそそくさと荷物をまとめてしまう。

「か、帰る!お、オレ、そんなやばいのに関わりたくねーよ!」

そして真っ青なまま部屋を出て行ってしまった。
そんなにやばいものなんだろうか。
犬山が恐る恐る守月に尋ねる。

「ああ・・・心配すんなよ。これはこの人を気持ちよくさせる薬。
 あんまり良過ぎて向日さんが止まんなくなるかも知れねーから、それで城井はビビったんだろ」

守月はその錠剤をオレの口に無理矢理入れた。

「飲んでくれますよね、先輩?嫌ならいいですけど、拒否されたらオレ、ショックで
 今撮った写真ばら撒いちゃうかも」



守月の笑った顔が怖かった。
犬山はまだ薬が気になるようで。

守月は嫌な笑顔を消して、人を脅すような、冷たい目でオレ達2人を睨んだ。



「逃げられると思うなよ。
 お前達だって共犯だ。

 向日さん。
 あんたが今飲んだのは、通称ラブ・ドラッグ。

 つまり



 麻薬」



「・・・・・・え・・・・・・?」

思考がついていかなかった。
犬山も同じだったんだろう。

麻薬って、あの、警察とかに捕まる薬か?
売人から買って。
一度飲んだら止められなくて。



「ばーか。アンタを犯して写真撮っただけじゃばらされるかも知れねーだろ。
 けど、さすがにこんなん飲んだのがバレたら―――」
「まッ・・・待てよっ!そんな・・・・・・」
「言わなきゃいいんだよ」



守月は青ざめた犬山にドスの聞いた声で言った。
もうさっきまで笑ってた形跡なんてない。
オレも、多分犬山も―――守月が怖い。



「お前等が言わなきゃバレやしない。そうだろ?
 そうそう、先輩。
 麻薬回ったら、多分レギュラーじゃいられませんよね。

 先輩の後のレギュラーの座はオレがもらいますんで、御心配なく」



身体が熱い。
頭がぼぅっとしてきて、守月の言うことが頭に入らない。





オレ、どうなるのかな―――




























コメント

これが真実なのです。
そして都合のいいように脚色した話がレギュラーに話された、と。