お食事中の方は見ないほうがいいと思います。
気分が悪くなられたら即引き返すことを強くすすめます。

あと、レイとアスランのファンの方、ごめんなさい。






























地球とプラントの間には大きな溝がある。

埋めることなど不可能な溝が。











「うぎゃアアアアアアアあっッッッッッ!!!!!!!!!!!」

終戦から1ヶ月。
平和の兆しを見せたオーブにシンの悲鳴が響き渡った。

シンとレイはアスハの家にお世話になっていた。
漸く仲直りの兆しが見え始めたアスラン、カガリ、シン、レイの4人を同じ屋敷に住むように提案したのはラクスだった。
ちなみにラクス達の住んでいる所にはホーク姉妹がお世話になっている。

それはさておき。

「どうした、シン。朝っぱらからうるさいぞ」

隣のベッドで寝ていたレイが眠そうな目をこすりながら起きた。
(余談だが、終戦して一緒の部屋で寝るようになってからレイは意外と低血圧であることが判明した)
シンは涙目になりながら床を指差した。

そこには一匹の黒い虫がいた。
いや、どちらかというと茶色というか、いややっぱり黒かも。
油でギットリとてかり、触角を出し、ごそごそと動くそれは、人間であればほとんどすべての人が悲鳴を上げて逃げ出すに違いないであろう。

「・・・・・・虫じゃないか」
「虫!?レイ、アレは虫は虫だけどすっげー嫌な虫なんだよ!」
「刺したりするのか?」
「いや、刺しはしないけど・・・・・・飛ぶ・・・・・・」
「ゼミやトンボだって飛ぶだろう」
「セミやトンボとアレをいっしょにするな!!!!!」

嫌すぎる。
セミやトンボを素手で10匹捕まえるのとアレに触るのとでは、セミやトンボを10匹どころか100匹捕まえてくるほうがまだマシだ。
そこまで考えてふと思う。
そういえば、プラントに虫はいなかったような。

「・・・・・・レイ、念のために聞くけど、アレの名前分かってる?」
「・・・・・・知らない」

そういうことか。
シンは漸く納得した。

「アァスラアアアアァァァァァァン!!!!!!今すぐ殺虫剤持ってきてくれエエエエェェェェェェェ!!!!!!!!!」

駄目だ。
レイとこれ以上会話を続けるよりもアスランを呼んで退治してもらったほうが確実だ。
幸い奴はオーブ暮らしが長い。
この状況を体験したことぐらいあるだろう。

「どうした、シン!?」

シンの只ならぬ叫びにアスランは殺虫剤を持って颯爽と現れた。

「アレ、退治してくれ!!!!!」

アレ。
黒光りする、忌み嫌われる虫。
この場にカガリがいたら、その辺の雑誌で叩き潰すだろう。

「・・・・・・ああ、ゴキブリ?」

アスランはなんでもないことのように言った。
そしてシンいわく『アレ』をしげしげと眺めた。

「これが本物のゴキブリか・・・・・・見るのは久しぶりだな」
「って、何でそんなに嬉しそうに言うんだ!アンタ本当に人間か!?」

ゴキブリを見てこんなに珍しげな表情で観察する人間がこの世にいるなんてシンは想像していなかった。
だが、目の前の二人はシンの想像外の行動をとった。

「これが、あのゴキブリですか・・・・・・オレ、見るのは初めてだ」
「オレもまだ数回しか見たことがないが・・・・・・」
「見なくていいんだ、そんなもの!」

これだからプラントのいいトコ育ちは。
ゴキブリについて知らない人間なんている訳ないと思っていたが、世間は広かった。
地球にはいっぱいいるが、プラントにはいないのだろうか。
羨ましい限りだ。

「どうしたんだ、シン?すごい悲鳴が・・・・・・」

部屋に入ってきたカガリはガサ・・・・・・と言う音に固まった。
さすがお姫様といっても地球育ちだ。
シンは初めてカガリのことを素晴らしい仲間と思えた。

「・・・・・・あ、アスラン・・・・・・殺虫剤はあるか・・・・・・?」
「あるけど、もう少し観察してもいいだろ?」
「いいわけあるか、このバカーっ!!!!!」

カガリの蹴りがアスランの鳩尾に決まった。
断末魔の悲鳴をあげて倒れるアスランの手から殺虫剤をもぎとると、カガリはゴキブリに向かってそれを噴射した。
しばらくぴくぴくと動いていた足がついにその動きを止めた。

「よし・・・・・・」
「・・・・・・アンタ・・・・・・」

いいヤツだ。
カガリはとてもいいヤツだ。
シンは涙が出てきそうになった。
それに比べて・・・・・・

「アスラン、大丈夫ですか!?なんて事をするんですか、もう少し見ていたってよかったじゃないですか!」
「黙れ!お前にゴキブリの恐ろしさが分かってたまるか!」
「刺すわけじゃない、ただ飛ぶだけだ!それの何がいけないというんです、あなたは!」
「お前は人類に土下座して謝れ!!!」

カガリはレイの腹に鉄拳を食らわせた。





「シン、これを部屋に置いておくといい」

カガリは白い団子のようなものをシンにいくつか手渡した。
シンはそれに懐かしさを覚える。

「ゴキブリ団子(ホウ酸団子とも言う)か!」
「ああ。あのバカどもはまったく役に立たないからな。やはりこれは必要だろう」

カガリが神に見える。
大戦中はあれほど嫌いで、殺してやるとまで思ったのに。
そうだ、人はこうして分かり合えるんだ。
ナチュラルとかコーディネーターとか関係ない。
(プラント育ちと地球育ちの違いはあるだろうが)

「オレ・・・あんたのこと、誤解してた・・・・・・」
「気にするな、シン。これから相互理解を深めていけばいいんだ」
「・・・あ、ありがとう・・・・・・」

こうして一つの美しい友情が生まれた。

アスランとレイの屍も生んだが。
















あとがき

・・・・・・だからお食事中の方とか見ないほうがいいよって・・・・・・・・・



※ブラウザバック推奨