「あ、痛っ・・・」

チクッとした。
右手の親指を見れば、黒いトゲが深々と刺さっている。
結構太いし、取り出すのはちょっと難しそうだ。

「大神、刺抜き持ってない?」
「持ってねーなー。ちょっと見せてみろ」

言われた通りに右手を差し出す。
何とか抜くことは出来ないものかと思案顔の大神。
きっと無理だよ、と言うと彼は五円玉を取り出した。
それでトゲを抜くことが出来るらしい。
だけど深く刺さったトゲにはどうやら無駄だったようだ。

「後は針で刺す、とか・・・」
「ユキの綺麗な指にそんなのが刺せるか」
「大神ならそう言うと思った。じゃあ、水でふやかして抜くしかないかな?」

洗面器にお湯を張って持ってこようとするが、大神がそれに待ったをかけた。

「どうしたの?」
「いい。オレがふやかしてやる」

そう言って大神は指を咥えた。
予想はしていた。
その大神の髪を掴んで無理矢理引き剥がす。

「いってぇ!ユキ、オレが禿げたらどうしてくれんだ!?」
「あのね、気持ちは嬉しいし、大神がそうしたいって思ってるのも分かるけど、口の中は雑菌だらけ。感染したら困るだろう?」
「う・・・」
「分かったら大人しくしててよ。トゲ抜けないと、抱き合うのも何も出来ないんだから」

最後の一言は大層効いたらしい。
大人しくなった大神を部屋において洗面器を取りに行った。
トゲが抜けたらありがとうのキスでもしよう。






あとがき



針で刺して痛いです。
っていうか途中まではマジです。
今まさに痛いです。