※このお話では犬飼と御柳が結婚を前提のお付き合いをしています。 ※沖君の助力で大神さんの霊が降臨なさっています。 塁審が幽霊でよかった。 幽霊なら砂煙とかあっても気にせず判定できる。 アウトならAチーム的にはセーフだ。 「大神さん、アウトだよなっ!」 「現実を見なきゃダメよ、芭唐ちゃん」 紅印が笑った。 『足速いなー、お前。普通ならアウトだぞ、コレ』 「じゃあ・・・」 由太郎ががっくりと膝をついた。 「・・・みんな・・・ごめん・・・」 『セーフ!Bチーム、先制!』 「ぎゃあああ!」 御柳が叫んだ。 紅印がガッツポーズを作る。 「よっしゃあ!」 「兄貴、キャラ違う。けど、雀!ナイスラン!」 「さっすがスバガキと並ぶ埼玉駿足二強だぜ!」 「うぎゃっ!」 バタンと何かが倒れる音がした。 一塁を見ると、白春が倒れて砂煙が上がっていた。 「・・・さっすが、埼玉最強のボケだね・・・」 兎丸が溜め息をついた。 何故だろう、打点をあげた彼を素直に褒められない。 というか褒めたくない。 「じゃ、Aチームは一枚脱いでね。春くん、どうやって脱ぐか指定していいよ」 「くっ・・・」 「白春ちゃん、ちょっといらっしゃい」 紅印が白春を呼ぶ。 その手にはあみだくじがある。 「どうやって脱ぐのか、バリエーションをクジにしてみたの」 「おお!すごいング!」 「普通でいいだろ、もー」 由太郎が肩を落とす。 白春は首を大きく横に振る。 「普通ってのは、とっても難しいことング。だから、こうやって普通じゃない方法考えるング」 白春はあみだくじから一か所を選んだ。 紅印がその先を見る。 「監督に脱がせてもらう・・・まぁ、普通ね」 「普通ング」 「普通だヨ」 「普通」 「普通すぎだよ」 「普通だしょ」 「普通気(-_-)」 「普通じゃのう」 「普通…」 「普通だな」 「いーじゃねーKa、普通De」 10人全員が普通だと呟くが、Aチームにとっては紅印に脱がされるなんて最悪なオチになるよりは普通で良かったと喜ぶべきだろう。 犬飼と御柳がどう思うのかは知らないが。 と、虎鉄が二人を見れば、ダッシュで逃げ出していた。 「あ、こら!逃げるんじゃないわよ!」 紅印がカウボーイよろしく縄を投げた。 「兄貴、そんなのどこから出したんだよ・・・」 「ぐえっ!」 紅印のポケットは四次元ポケットか。 突っ込む影州の横を飛んでいった縄は御柳の首に掛かった。 「冥っ!逃げろ!オレの犠牲を無駄にすんっ・・・」 「霧咲くん、兎丸くん。犬飼くんを捕まえるんだ。監督命令だよ」 「了解」 「まっかせてー!」 御柳の犠牲は早速無駄になった。 埼玉の駿足王二人に追いかけられては捕まらない方がおかしい。 「とりあえず・・・アンタは鬼だ・・・」 『ユキのどこが鬼だ。可愛い小悪魔だろ、どう見ても』 「節分になぞらえて、豆まいて追い出そうぜ・・・」 「何言ってるの、御柳くん。今は八月だよ」 捕まった二人に白雪が迫る。 「上から脱がせてほしい?それとも、下から?」 「監督、上はもう鎖骨まで見えてますから、高得点狙うなら下ですわよ」 「助言はやめたまえ!」 「ボクとしては、御柳くんと犬飼くんを恥ずかしい目にあわせられるなら、どっちでもいいんだけど・・・果たして雪芭や雪犬に需要が見込めるんだろうか・・・」 「ないない、ないっすよ!だから止めましょ、これ!」 「とりあえず、オレは何度も脱いでる!恥ずかしいなんて気持ちは微塵もない!」 犬飼が羞恥心(そんなものが存在するかは甚だ疑問だが)を隠すように虚勢を張る。 そんなセリフは白雪や紅印を喜ばせるだけだと何故気付かないのか。 「・・・ま、下はお楽しみにとっておこうか」 「お楽しみって・・・監督、Bチームの味方ばっかりでズリーぞ!」 由太郎が不満を口にする。 監督が贔屓しているチームに勝つのは至難の技だ。 特に、白雪が相手では。 「主将格はAチームの方が多いんだから文句言わないで頂戴」 正論を言う紅印。 しかし、その手にデジカメがあっては、説得力なんて無いに等しい。 「さぁ、監督!イイ感じに脱がせてあげて!」 「止めなくていいの?アレ」 「今更だしな・・・」 兎丸と影州は紅印を止めることを諦めた。 どれだけ暴走しようが、それが紅印なのだから仕方が無い。 「もう一点もやらんぞ!」 散々セクハラされた犬飼が闘志を燃やす。 Aチームはほぼ全員が気合いを入れ直している。 Bチームの次のバッターは録だ。 「録っ!オラ、走りングすっぞ!」 「オッケーオッケー!任せとけよ(≧Д≦)ゞ」 一方は、余裕を感じさせるBチーム。 そりゃ、甲子園優勝候補だった高校の三番打者なんだから余裕だろう。 「ファースト、久芒さんのマフラー掴まえとけ!離すな!首絞めろ!」 「そんなことしたら走塁妨害取るよ」 御柳はルールに則ったツッコミを入れる白雪を睨み付けた。 犬飼が振りかぶる。 全力で投げたのは白竜。 白春が一塁を蹴った。 盗塁だ。 「やばっ!」 由太郎がそれに気付く。 しかし、白竜は視界から消えてしまう球。 それを取り、二塁に投げる頃には白春はセーフだ。 盗塁は命取り、その事は身に染みて分かっているのに。 「それっ!」 しかし、予想外が。 録が白竜を打った。 しかも三塁線。 「みやなぎっ!」 チャンスだ。 このコースならダブルプレーをとれる。 そう思った由太郎だが、言い様のない不安に襲われた。 わざわざ取られるコースを狙って打つか? 前進し、捕球体勢に入った御柳が、一瞬動きを止めた。 それだけで読めた。 わざと狙ったんだ。 あれは御柳の苦手コースだ。 同じ学校でプレイしてれば、苦手コースなんて分かりきってる。 御柳は慌てて捕球し一塁に投げる。 その隙に白春は二塁を蹴り、三塁へ。 録は、流石は華武の三番バッターと言うべきか、セーフだった。 三塁に滑り込んだ白春の笑顔を見て、由太郎は思った。 この笑顔、デスノートで見た事ある。 そう、キラとしての記憶が戻った時の月の表情だ。 計画どおりと笑った顔が明らかに悪役で主人公じゃないと評判になった、あの顔だ。 あとがき 節分のセリフは、書き始めた時期が2月とかだったからです・・・・・・ AチームもBチームも、四番サードが守備の足を引っ張ると思います。 |