※この話では犬飼と御柳がとっても仲良しです。






「・・・・・・なんだ、その目は」

疲れてぐったりしている御柳を部屋に寝かせ(何故疲れているかは想像のとおりだ)、犬飼は一人食堂へと降りてきた。
そこへ皆からの生暖かい視線。
何人かは意図的に目を逸らそうと頑張っている。
が、イマイチ頑張りきれていない。
いつの間に現れたのか、神鷹が犬飼の肩をぽんと叩く。

「・・・・・・アンタまで、その目は何だ」

暗殺者にあるまじき同情的な目。
コイツ、本当にサイレントファントムで自分の球を狙ってた時の武軍の怖い人か。

「まぁまぁ、犬飼君だってお疲れなんだから」

紅印の一言で犬飼は何か嫌な予感を覚えた。

「・・・お前等、まさか見てたとか?」
『うん』
「頷いてんじゃねぇっ!」

自分の肩に手を置く暗殺者を逆に殺しかねない勢いで犬飼は神鷹に掴みかかった。

「いつから見てた!?どうやって!?」
『盗聴器・隠しカメラ設置の練習も兼ねた』
「ぶっころ!」

本当に神鷹は高校生か。
自分と二つ違いか?
いろいろとおかしいだろう。
というか、人のヤってるシーンをそんな練習に使うな。
覗き行為は犯罪です。

「・・・ま、普通は怒るよね」
「ただ覗かれるだけでも嫌じゃねーか?それがヤってる最中なんてことになったら・・・なぁ?」

目を合わせまいと頑張る組・兎丸と影州がひそひそと密談する。
彼らもヤってるところはばっちり見ているが(しかも他の者曰くかなり楽しんでいた)、犬飼が怒るのも無理はないだろうと思っている辺り、おちょくって楽しむ紅印や神鷹よりはましだろう。

「犬飼君、少し落ち着くんだ」

牛尾が神妙な顔で犬飼に話し掛ける。

「君が怒るのももっともだ。誰だって恋人との情緒を見られるのはいい気がしないだろう」
「・・・あの人、一番乗り気だったよな?」
「しっ、お黙りなさい影州!」

口を挟んではいけない。
何故って、このタイミングで止めたら牛尾がとっても怖いから。
紅印は慌てて影州の口を塞いだ。
牛尾は構わず言葉を続けた。

「だけど、僕からどうしても君に言いたいことがあるんだ」
「・・・・・・・・・何スか?」

絶対良からぬことだという確信が犬飼にはあった。
何せこんなに牛尾が神妙な表情をしていても今までの司馬に対する熱愛っぷりなんかを見ている限り、確実に彼は知的でクールなキャラではない。

「あのね、犬飼君。御柳君はすぐに入れられるよりも焦らしてから入れてあげると悦ぶタイプだよ。求められて我慢が聞かないのは分かるけれど・・・それとあの手の子に効果的なヤり方はイきそうになったところで指で抑えて止めて、イかせてって懇願するまで攻めて・・・」
「何処まで見てたァッ!!!???」

真っ赤になって犬飼は牛尾の胸倉を掴んだ。

「ははっ、照れなくても大丈夫だよ。最初から最後までばっちり見てたからね。可愛い後輩の成長の記録だもの。神鷹君、グッジョブ」
『ありがとう』
「ぶっころ!今すぐ殺してやる!」

「あれ、イジメカ?イジメはよくないヨ」

状況がよくわかっていない桃食はそれを止めようとすればそんなことは命がいくつあっても足りない。
やめとけ、と由太郎が止めた。

「それより、華武の方が心配だって」

由太郎の視線の先には未だ泣きつづける白春とそれを慰める屑桐。
そしてすっかり母親役と化している御柳姉。
さしずめ録はお兄さん役だろう。
完全に白春にはさじを投げた状態で黙々と夕飯食べているが。

「あの゛ね゛っ、御柳がねっ、バカがね゛っ、オラのことねっ、ぽいって!ぽいって!!!蹴りングだよ゛っ!」
「御柳の奴、よくも白春を・・・」
「蹴られちゃったのか。痛かったね、白ちゃん」
「痛いング〜っ!今でも痛いングよぅ!」
「そうかー。じゃあ、痛くないようにおまじないしようか。痛いの痛いのとんでいけーっ」

小学生じゃあるまいし、そんな気休めが効くか。
階段から落とされた時に間違って頭でも打ったんじゃないか?

「それにしても、酷く対照的な姉弟だよな」
「そんなことなさ気。メルさん、ああ見えて練習には厳しいし、何かにつけて暴力ふるう気だし」
「マジですか」

デザートのフルーツを食べながら猿野は録の言ったことを信じられずにいた。
あんなに白春に甘そうなのに。

「夕べだって怒鳴ってた気じゃん。あぁ、それから苗字は御柳のままだけど一応ウチの監督と結婚してるから肝っ玉すごい気だよ」
「あ、そりゃすげーわ」
「お面の嫁?どんな根性してんだ・・・」
「勇者認定」
「言えてる。うまい」
「やまだくん、もといスバガキ、何してんだ。さっさと座布団もってこい」

猿野と影州は雀の勇者認定発言に同意した。
座布団を運んだ兎丸は食事を再開し、皆が食事をしている最中に、後ろでは犬飼と神鷹と牛尾が取っ組み合いを開始し(暗殺者と牛尾を相手に犬飼がやや優勢)、横では屑桐とメルが白春を慰めるという異様な光景が繰り広げられていた。


















あとがき

こういうことを経験しながら、犬飼は「こんな男と付き合ってるなんて司馬も大変だな」と思うようになるわけです。
次回、雉子村に負けた御柳は―――?