※この話では犬飼と御柳がとっても仲良しです。 「とりあえず・・・我慢できるかっ!」 犬飼は部屋に入るや否や御柳を押し倒した。 当の御柳もそれは予測していたのか別に驚くこともなく寧ろ自分から犬飼に口付ける。 舌を絡めて、御柳は犬飼の腕に背を回し、そしてふと天井に何かが貼ってあることに気づく。 「あれ、なんだよ?」 「ん?」 犬飼はそれに気づくとひょいとジャンプし、それをとった。 そこには監督直筆と思われる筆跡でこう書いてあった。 『がっつくのも程々にしないと、華武の監督に言いつけるよ』 「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」 コイツ、予知能力者か? っていうかドア付近で押し倒すことまで先回りして予想済みかよ。 犬飼はその紙を丸めてゴミ箱に放り込んだ。 紙はごみ箱へきれいに入った。 流石ピッチャー。 「・・・・・・なんつーか、隙がねーよなー・・・・・・」 「ああ・・・」 「って、冥、後ろ」 御柳がドアを指差した。 そこにはまたもや監督直筆で書かれているメモがあった。 『それとそのユニフォーム、キスマークつける場所に気を付けないと見えるからね。練習の邪魔になるかもしれないから首や鎖骨付近は避けるように』 「保護者か、テメーは!」 「落ち着け、芭唐・・・」 メモを破ろうとする御柳を止める犬飼の手には百円ライター。 燃やす気全開だ。 「・・・・・・部屋は、危険じゃないか?とりあえず・・・」 「え、じゃあ風呂場でやるの?マジで?」 まだ何も言っていないが、御柳は部屋でヤるよりも乗り気らしい。 それならば、と2人して浴場へ向かおうとする。 が、勿論そううまくいくはずもない。 「う゛ぅッ・・・ひっく、ひっく・・・・・・」 「・・・・・・・・・テメェは何泣いてんだ、コラ」 「ふぎゃっ!」 廊下に出た途端に家を追い出された妻よろしくぐすぐすと泣いている年中冬人間が目に入った。 御柳は彼のマフラーを思い切り引っ張り首を絞めた。 「あぐっ、う゛ぅ〜っ!!!」 「芭唐、殺すな。お前の手が汚されるのは我慢ならねぇ・・・」 「冥がそういうんなら・・・・・・」 犬飼に止められ、御柳はマフラーから手を離した。 白春はぜーぜーと息を吐き、御柳を睨みつけた。 「何するング、御柳バカ!今度やりングしたら選手のオーダー表に御柳バカって書いて登録すんぞ!」 「とりあえず、書くのはアンタじゃなく監督だろ」 「!そ、そうだった!・・・・・・ここは一つ、色仕掛けで監督に頼みングして・・・」 「そこまでオレのこと嫌いなんすか」 そんなことのために色仕掛け。 犬飼と御柳は、屑桐はどこかで白春の教育を間違えたんじゃないだろうかと思った。 この方法を白春が一人で考えたというのであればそれは彼の知能レベルに前進が見られたということで喜ぶべきなのだろうが。 「で、なんであんたはここにいるんだ?」 話が進まないので犬飼が白春と話を始める。 白春はちょっと考えてからぽんと手を打った。 「あ、そうそう!オラはね、監督からの託で来たング!」 えっへん、えらいだろ!とばかりに胸を張る白春だが、明らかに本来の目的を忘れていたんだろう。 白雪も、何も白春を伝令に使うことないだろうに。 迷ったらどうするんだ。 変な奴に声をかけられたらどうするつもりだ。 「とりあえず、さっき泣いてなかったか?」 「うん、迷いングしたと思ったの」 ほら見たことか。 っていうか自分達の部屋の前で迷子になったと泣き喚く高校2年生ってどうなんだ。 こんな奴が選抜メンバーに選ばれてスタメン。 セカンドにコンバートされたけどスタメン。 小饂飩にショートを奪われたけどスタメン。 (誰か嘘だといってくれ・・・・・・) 「監督からの託ってなんだ?」 泣きそうになる御柳はさておき、犬飼は白春に尋ねた。 白春はたっぷり30秒は考え、そのあとにっこりと笑った。 「・・・なんだっけ?」 「冥、コイツ殴っていいか?」 「あ、思い出した!今思い出しング!」 釘バット片手に白春に詰め寄る御柳。 白春は怯えて思い切り首を振る。 「あのねっ、お風呂場は一般の人もいるから止めなさいって!やるなら部屋で!そうやって言いングしてたよ゛っ!」 「『お前ホントに監督か?』って伝えろ」 言うが早いか御柳は白春を階段の下へと蹴り飛ばした。 白春はさすが華武の1軍というべき素早い身のこなしで華麗に着地したかと思うと大声を上げて泣きながらグラウンドへと帰って行った。 「・・・・・・風呂場行くか?」 「いや・・・行ったとしてもあの監督のことだから先手を打たれてる可能性が高い」 犬飼は考え込むような素振を見せ、やはり部屋で布団敷いてやるのが一番いいだろうという考えに落ち着いた。 そして部屋に戻り、押入れから布団を出した途端、御柳が布団の中から監督直筆のメモを見つけ出した。 「選択肢1.破る。2.燃やす。3.読む」 「紙飛行機にして飛ばせ」 「さっきのメモとあわせて手裏剣作って飛ばすってのも一興だよな」 御柳はもう一つぐらいメモがないかと室内を見回しながら、一方でそのメモに目を通した。 『明日の練習に差し支えるようなら緒戦のベンチ入りはないよ』 「これ、もう一つぐらいメモある気がする」 「とりあえず・・・オレはそれに『男同士でも避妊しろ』とかまともな事が書いてありそうな気がするな」 犬飼は布団を敷き、念の為、とカーテンを引いた。 すると。 「・・・・・・オイ、芭唐。・・・あった・・・」 「いつの間にこんだけメモを仕込んだんだ、あのヤローは・・・・・・」 カーテンについていたメモには犬飼の予想通り『男同士でも避妊はするんだよ』というまともな言葉のほかに『避妊具を持っていなかったらきっと紅印君の荷物の中にでも入っているから拝借するように』などという、監督とは思えない言葉がかかれていた。 あとがき あれ、ヤってる予定がいつの間にかこんなギャグ話に。 |