※この話では犬飼と御柳がとっても仲良しです。






「っていうか、グループ変えて欲しいんだけど」

由太郎が魁に泣きついた。
まぁ、無理もないとは思うが。
全員に生暖かい目で見られたことで白春が全部白状したことを知った二人は隠すのもバカらしいと公然とらぶらぶ。

「グローブで口元隠して作戦会議かと思いきやキスだもんな。アレには参るって」

猿野も同意するぐらいなのだから相当嫌なのだろう。
っていうかむしろ蚊帳の外?
チームプレイよ何処へ消えた。
そんなものラブラブ捏造がなかったとしても存在しないがそっちの方がましかもしれない。

「投球希望」

さっさと投げろ、と雀がすごい形相で犬飼と御柳を睨みつける。
こいつらと来たら、らぶらぶらぶらぶ以下エンドレス・・・
時間がもったいないだろ。
だが、雀の言葉に二人は揃ってこう言った。

「「邪魔するな!すぐに投げるからもうちょっと待ってろ!」」

そうは言ってもお前等既に5分以上待たせてるんですけど。
つっこんで良いものかどうか猿野には判断がつきかねた。

「・・・・・・」

雀がついにキレたのか、側に落ちていたボールを手に取り、それを思い切り2人の方へノックした。

「あぶないっ!」

犬飼は咄嗟に御柳を庇い、右肩にそのボールを受けた。
御柳は真っ青になって叫んだ。

「冥っ!か、肩が・・・!」
「とりあえず・・・お前が怪我をすることに比べれば、こんなことは何でもねぇよ・・・」
「ちょっと雀、ヤブヘビよ」

紅印の言葉に雀は溜息をつくしかなかった。
どうしろってんだ、この野郎。

「犬飼君、そろそろ投げてくれないと話が進まないから急いでくれないかい?」
「御柳、いい加減にしておけ」

双方の主将が揃って注意するも。

「スイマセン、主将。これやらないとオレは集中できないんで・・・」
「良いじゃねっすか、屑桐さん!冥とこうやってラブラブすればオレはもっと強くなれるんすから!」

なれるか。
本気で屑桐達の堪忍袋の緒が切れようとしていた時、録が呟いた。

「そういえば、言うこと聞かな気だったら『デート写真を信二に送る』って言ってやれって言われてたような・・・」
「とりあえず・・・しまっていくぞ!」
「ばっちこーい!」

二人は面白いぐらい素直に従った。
そんなに辰羅川が嫌か。
嫌だろうな。

「さぁ、行くぞ!とりあえず・・・飛竜!」
「・・・・・・」

これを打ちたい。
打って、犬飼の顔面にめり込ませてやりたい。
むしろ御柳の股間直撃でもいい。
ってか、飛竜あかんやろ。
ストレートで来いや、ストレート。
雀はそう思いつつバットを振った。

打球は飛ぶ。
御柳目掛けて。

「芭唐っ!」

犬飼も跳んだ。
御柳を庇うように。
そして捕球。

「無事か、芭唐?」
「冥・・・」

御柳は頬を染めて乙女の如く手を口元に持っていって『キュンv』っという表情。
当然の如くファーストはセーフ。

アホだ、こいつら。
猿野が御柳に叫ぶのも分かる気がする。
っていうかもういっそのこと、叫ぶよりも殴ってやれ。

「うーん、このチームワークの良さは考えものだねぇ・・・」
「白雪監督、そもそもチームワークがいいとかそんな問題じゃないですよね?」

思わず影州が普通の喋り方で訊ねてしまうぐらいに彼等は不気味だった。
これに動じないとは、流石監督。
伊達に総監督に選ばれていない。

「確かにチームワークが悪いよりはいい方がいいけれど、これじゃあ話にならないね。そこの二人、これ以上プレーに支障が出るなら・・・」

外すのか。
それは良かった。
思わず全員が安堵しかけた時、監督はすごい言葉を吐いた。

「邪魔になるからどっかその辺の草むらででもヤってきてもらってもいいんだよ」

いいのか。
さっすが監督、一味違う。
一味どころか考え方そのものがぶっ飛んでいる。

「いいんすか!?」
「うーん、ムラムラきてプレーできないようならそのムラムラを解消するところから始めないとどうしようもないよね?」

だまらせりゃいいじゃねーか。
その一言が言えずに全員が苦悩する。
そりゃあ、一時的にでも外れてくれるのは助かるが、打球を拾いに行って目撃してしまったらどう責任取るのか。
そもそもアオカン勧めるな。

「ありがとうございます、監督!行ってきます!」

嬉しそうな犬飼と御柳。
頼むから誰か、この二人を止めてくれ。
こんなところを他県のやつ等に見られたら恥どころじゃない。

「・・・監督、流石にそういうことを推奨するのはどうかと思いますが・・・」

このままじゃいけない。
牛尾は勇気を振り絞って監督に進言。
それに対する監督の回答はこれまた想像のはるか斜め上を行くものだった。

「そうか、それもそうだね。じゃあ、せめて室内でヤるように。あと、待ちきれないのは分かるけどちゃんと布団は自分達のものを使って、部屋を汚さないように気をつけるんだよ。後始末までしてこそ高校生って言えるんだからね」
「「はいっ!」」
「ハイじゃねーだろーっ!!!」

猿野のツッコミが冴え渡る。
正直に言って、監督を舐めていた。
ヤるときの心構えを説く監督なんて自分は知らない。
あの存在がセクハラの羊谷だって冗談で言うことはあってもこんな状況では言わないだろう。

ハートを巻きながら早々と部屋へ引き上げていく2人に誰も何もいえなかった。

「若いっていいね」
「アンタ、今すぐ監督辞めてください」

こんな奴より華武のお面のほうが百倍ましだ。
猿野は心底そう思った。













あとがき

牛尾さんと白雪姫の喋り方が被ります。