※この話では犬飼と御柳がとっても仲良しです。






「絶対に兄貴の隣では寝ないからな!」
「あら、可愛くないわねぇ。いいわよ、アタシは屑桐君の隣で寝るんだからv
 そうね、村中君の隣でも悪くないかも」
「願い下げだ!」
「・・・遠慮する」
「朕は兎丸と白春の隣ヨー!」
「明美はぁ、キザトラとモノマネヤロー、それにエロ師匠とは是非語り合いたいわーv」
「おう、十二支!男・小饂飩勇、勿論語り合うために必要な物は持ってきたぜ!」
「皆、我侭を言うのはよくないよ。僕だって本当は無理矢理葵を連れてきて愛する恋人の隣で眠りたいのを我慢してあげているんだから」
「牛尾 一番 我侭」

もう、本当に唖然とした。
埼玉選抜、バカばっかりだ。
自分達も含めて、の話だが。

(・・・・・・どうする?)
(とりあえず・・・何とか隣になれねぇか?)
(・・・さりげなく交渉するか)
(ああ・・・・・・この光景見てると、もう主将じゃなく寧ろ監督に交渉に行った方がいいと思う)

お互いに隣で寝たいことには変わりないらしい。
二人はこの光景を見なかったことにして監督の部屋へと急いだ。





「菖蒲監督ー、いなくてもいいんすけどいますかー?」

監督の部屋に入った途端に軍配が投げつけられた。
ドアを閉めた犬飼が倒れる御柳の体を慌てて支える。

「芭唐っ!しっかりしろっ!テメェ、芭唐に何てことしやがる!」
「言葉使いに気をつけよ。最近の小童は、まったく、躾がなっておらぬ故・・・」

菖蒲監督はお面越しに溜息をついた。

「して、何用か?」
「「オレ達の寝る場所を隣同士にしていただけないでしょうかお面様」」
「却下故」
「「なんで!」」

土下座した二人だが、菖蒲の言葉に血相を変えて詰め寄った。
態度が悪いのが一因だ、と羊谷はそう思った。

「オレ、冥が隣じゃないと寝られないんすよ!」
「オレも、芭唐の隣じゃないと寝相が悪くなるんで」
「「っていうか手繋いでないと寝た気にならないんで」」

小学生の我侭か。
羊谷はツッコミを入れたい気持ちでいっぱいだった。

「お前等、仲悪いことにしてるんじゃなかったのか」
「とりあえず・・・辰がいない今、できるだけイチャつきてぇ」
「羊のおっさん、頼む!オレ達を隣で寝させてくれ!」

この必死さが何故野球に向かないものか。
いや、向いているのかもしれないが、方向性が違いすぎだろう。

「手を繋いで寝る以外に何も如何わしい事しねーよ!だから頼むって、監督!」
「却下。信用が置けぬ故」
「それなら『乱闘騒ぎを起こしたので罰として別室に監禁処分』ってことでもいいんで、とりあえず芭唐と一緒に寝させてください」
「もっと問題起きるだろーが!」
「「大丈夫です、ヤった事はばれないようにするんで!」」
「・・・・・・・・・何をしている、貴様等」

突然背後からかけられた声。
慌てて振り向くとそこには屑桐の姿が。
その後ろには怯えた幼稚園児のように屑桐の浴衣を掴んで震えている白春の姿がある。
めちゃくちゃ涙目だ。

「く、屑桐サン・・・と、久芒さ・・・」
「ひっ!こ、怖いング〜っ!!!」

御柳に声をかけられただけで白春は大声をあげて泣き出し、屑桐の後ろにしっかり隠れてしまった。
いくらさっき自分達が風呂場で脅したとは言え、ここまで怖がられると完全に悪者である。
菖蒲監督からの視線が痛い。

「・・・・・・其方、久芒を泣かせるようなことでもしたのか?」
「・・・・・・いや、ちょっと風呂場で・・・・・・」
「貴様、白春にナニをしたァっ!?」

御柳が言った言葉に屑桐は彼の胸倉を掴んで詰め寄った。
してませんって!という御柳の必死の訴えも日頃の素行の悪さからか信じてもらえない。

「んで、何の用だ」

御柳のことは屑桐と菖蒲に回し、羊谷は白春に向き直った。
菖蒲監督から泣いた彼には何か食べ物を与えるようにと助言を受けていたので飴を与えることも忘れずに。

「んっとね゛ぇ、寝る場所のことなんですけど・・・」

白春は何かの紙をがさがさと広げた。

「なんかね゛、十二支の牛さんが、猿は人を蹴るから蹴られても大丈夫そうな人を回りに配置ングって言って、こうなりングよ゛」

猿野の周りは魁と紅印になっていた。
妥当といえば妥当な選択だ。
その紅印の反対隣には影州の名前が書いてある。
なるほど、紙がぐちゃぐちゃになりかけているのは彼が一人、この配置に反対しようと奮闘した結果だろう。

「・・・・・・お前等隣だな」

ハートマークで囲まれた屑桐と白春の名前を見て羊谷は笑った。

「・・・で、屑桐と牛尾に挟まれて寝るコイツの心境は如何ほどなもんだろうな」

二人の間に書いてある雀は生贄か。
彼なら何があっても動じないと思うが、正直可哀想かなと思う。
犬飼や御柳と違って、こちらは本当に仲が悪いのだから。

「・・・・・・おい、これ・・・」

犬飼は自分と御柳の名前を見つけ、白春の手から紙を奪い取った。
取られた、と白春がまた涙目になるが、羊谷が饅頭を渡すと大人しくなった。

「芭唐っ!オレ達は隣だっ!」
「マジっ!?」

屑桐に叱られていた御柳はぱっと顔を明るくし犬飼に抱きついた。

「やった!これ決めた奴サイコー!」
「とりあえず、理性が持つかどうかが・・・」
「もうもたなくていいっての!皆が寝てからヤりゃいいんだし!」

目の前でハートを飛ばす2人。
果たしてヤるとは「殺し合い」なのか「同人的18禁」なのか。
判断のつきかねる顔で屑桐は菖蒲を見た。

「仲が悪いのでは?」
「否」

一文字で表された否定の言葉。
困惑した顔になる屑桐を見て菖蒲は笑い、軍配で犬飼と御柳の頭を叩いてハートを止めた。





「えっと、つまり、仲が悪いのは演技でぇ〜すv」

ぶりっ子のように言う御柳の頬を屑桐はグーで殴った。
痛がる御柳を犬飼が抱きかかえる構図なんて今まで想像すらしなかった。

「とりあえず・・・一緒にいると辰がうるさいし、誰かに話してばれるのも嫌だったし・・・監督達は例外だけどな・・・それに二人だけの秘密ってのも悪くねぇし・・・」
「冥・・・」
「芭唐・・・」
「見詰め合うな、気色悪い!」

話が進まない。
イチャイチャされるとこんなに周りはストレスがたまるのか。
自分と白春も今後はできる限り控えよう。
無理だろうが。

「これって、屑桐さんが決めたんすよね」
「ああ。仲の悪いお前達をこの機会に少しは仲を改善させてやろうと牛尾が言い出してな。オレとしては奴の言うことなど聞きたくも無かったが、白春がそれに同意したから仕方なくそうしたまでだ」

話を聞いていた羊谷は呆れた。
何だ、この合宿。
白春がイエスといえばイエスという奴が華武の主将か。
対する十二支の主将も司馬がイエスといえばイエスというし、こんな2人が揃っていてまともな合宿になる訳ない。
ボケに対する真面目要因が少なすぎる。
せめて子津や猪里辺りを推薦すべきだったか。

「だが、これほど仲がいいというのであれば、わざわざ隣にする必要も・・・」
「仲がよかったらオラ達みてぇに隣同士でもいいんじゃね゛?」
「御柳と犬飼は隣同士だ。いいな」

白春の発言に感謝すべきか屑桐に与える白春の発言力に呆れるべきかそれとも素直に喜ぶべきか。
自分達はどんな行動をとるべきなのか、御柳と犬飼はたっぷり10秒は固まった。





























あとがき

正直、御柳がキモイ(笑)
ここまで乙女か?
いやでも犬飼カッコいいし。